綾野剛、舘ひろしの“背中で語る”格好良さを継承
俳優の綾野剛が29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて無観客で行われた映画『ヤクザと家族 The Family』初日舞台あいさつに登壇し、共演した大先輩である舘ひろしから“背中で語ること”の格好良さを継承したことを明かした。舞台あいさつには、磯村勇斗、小宮山莉渚、藤井道人監督も出席し、全国272劇場に同時中継された。
本作は、日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ数々の映画賞を受賞した『新聞記者』の藤井道人監督が手掛けたヒューマンストーリー。ある出来事によってやくざになった男・山本賢治(綾野剛)と、彼を取り巻く人々が、変わりゆく時代の波に巻き込まれながらも、懸命に生きていく姿を描く。
生きるうえで大切にしている「思い」を、次の世代に継承していくというテーマを含んでいる本作。綾野は、山本に危機を救われた柴咲組組長・柴咲博を演じた舘に対して「映画にしてもドラマにしても、いまは割と情報過多になり、セリフで表現されることが多い。そんななか、舘さんはしゃべらなくても、背中で語ることができる。それって大事なことだなと素直に思いました」と舘の生きざまを“継承”していくことを誓う。
続けて綾野は自身の着ているスーツに手を当てると「このスーツは舘さんからいただいたものなんです。この門出の日に、きちんと立っていられるのは、このスーツに(舘の)魂が宿っているからです」と笑顔。すると舘は照れ笑い浮かべ「これはバラエティ番組の企画で、僕が着ていたスーツをもらってもらうことになったんですけれどね」と経緯を説明すると「俺より似合っているよね」と綾野の立ち姿の美しさを絶賛していた。
綾野に生きざまを継承した舘は、大変な撮影のなか完成した作品を「この場ではあまり言いたくはなかったのですが」と前置きしつつ、「やっぱり渡(哲也)さんに観てもらいたいですね」と昨年8月に亡くなった石原プロモーションの先輩、渡哲也さんに思いを馳せていた。
またこの日は、1月26日に39歳の誕生日を迎えた綾野にサプライズで花のプレゼントが贈られた。綾野は「めちゃくちゃうれしいですね」と破顔すると、舘は「39歳か、いいな。やりたい放題の年齢だよね」と羨ましそうに語っていた。
11都府県に緊急事態宣言が発出され、いくつかの映画が公開延期になるなか、無事初日を迎えた本作。作品を楽しみに待っていた人たちが、全国の劇場に足を運んでくれた現状に、綾野は「皆さんの心を華やかにできるようなエンターテインメントを届けたいと思っています。その思いを汲み取っていただけて感謝いたします。いつか許される日がきたら、こちらから皆さんのもとに伺います。待っていてください」と胸の内を語っていた。(磯部正和)