役所広司は偉大!『すばらしき世界』共演者が撮影エピソード語る
役所広司が11日、都内で行われた映画『すばらしき世界』初日舞台あいさつに、共演の仲野太賀、六角精児、北村有起哉、西川美和監督と登壇。共演者から“偉大な俳優”ぶりが明かされた。
本作は『ディア・ドクター』『永い言い訳』などの西川監督が脚本も兼任し、直木賞作家・佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした人間ドラマ。舞台を約35年後の現代に設定し、13年の刑期を終えた元殺人犯・三上正夫(役所)の出所後の日々を描く。
コロナ禍の中での公開に感慨をにじませる役所は、観客に「ありがとうございます」と感謝。「原作はすごく力強いですが、映画化するにあたって、佐木さんの男性的な目線で語る物語と、西川さんの女性の目線で新しく脚本されたところがうまく化学反応を起こして、すごく温かくて美しい脚本になったと思います」と本作に対する自信ものぞかせた。
そんな役所と共演することが役者としての最大の目標だったと話す仲野は、「みなさんが思っている通り、役所さんは偉大な俳優さんです」と切り出し、自分の撮影がない日も役所の芝居を見て勉強していたことを告白。また、役所の目の奥にさみしさを感じていた仲野は、「それが役所さんの目なのか、三上さんの目なのか、役との境目がわからなくなっていった」と回顧。
それほどに役を体現する役所を前に、自身も役とどんどんシンクロしていったそうで、「そういう経験は今まで感じたことがなかったです」としみじみ。「またいつか役所さんとご一緒できることが今の最大の目標です」と新たな夢を掲げた。
北村は役所のことが好きすぎて雑談にさえ興味があることから、よく話をさせてもらったことを紹介。一方の六角は「いつの間にか役に入り込んでいる」と役所の手腕をたたえるが、「素晴らしすぎて、なかなか勉強にならない」とぶっちゃけて会場の笑いを誘った。
役所も仲野らとの共演について「本当に素晴らしいチームでした」と満足そうな表情を浮かべると「監督に選んでもらった、ベテラン、中堅、新人、スタッフ、キャスト、お互い刺激し合あいながら、撮影を心から楽しませてもらいました」と撮影時を懐かしそうに振り返った。そして、初タッグの西川監督に対しても「日本映画の中で、なくてはならない才能」と称賛し、「次、お呼びがかからなくても、我々はひがまずに応援しています」と愛情たっぷりのエールを送り、西川監督を喜ばせていた。(取材:錦怜那)
映画『すばらしき世界』は公開中