実写版『トムとジェリー』トムとジェリーの3DCG化は一切検討せず!
実写映画『トムとジェリー』におけるトムとジェリーのビジュアルのこだわりについて、メガホンを取ったティム・ストーリー監督(『TAXI NY』『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』など)が語った。
2Dアニメーションの世界から現実の世界へ、そのままの姿で飛び出してきたトムとジェリーが巻き起こすドタバタを描いた本作。セレブカップルの世紀の結婚式が行われることになったニューヨークの一流ホテルに、いたずら好きネズミのジェリーが引っ越してきてさあ大変! 新人スタッフのケイラ(クロエ・グレース・モレッツ)は“ネズミ対策”で猫のトムを雇うが、トムとジェリーは案の定、壮絶な追い掛けっこを始めてしまう。
近年の『名探偵ピカチュウ』や『ソニック・ザ・ムービー』といった実写映画では人気キャラクターたちを3DCG化して現実の世界になじませていたが、本作においてトムとジェリーは「常に2Dアニメーションで作りたいと思っていた」とストーリー監督は言う。オリジナルのアニメーションではトムとジェリーが手加減なしの壮絶なバトルを繰り広げることも、彼らを2Dアニメーションのままにする決め手となった。
「2Dのままにすることで、トムとジェリーはトムとジェリーらしく見えるし、(3Dにした時のように)毛はどうする? といったことで悩まなくていい。僕たちはそうすることで、彼らがカートゥーンキャラクターだからこそ出来ることができた。ぺちゃんこにされたりしても、絶対に死なないというね(笑)。アイコニックなキャラクターの精神を伝えるという意味で、僕たちはベストな映画を作れたかもしれない」とストーリー監督は自信をのぞかせる。
「僕たちはスコアを記録したりもした(笑)。何度トムが勝って、何度ジェリーが勝つかといったことをね。オリジナルのアニメーション作品では、トムはほとんどジェリーに勝てない(笑)。ジェリーは常に一歩先を行く。トムにも勝利を与えたかったけど、結局はオリジナル版のアイデアに従うことにしたよ」
本作では2Dのアイデアを根幹としながら、3DCGも駆使してトムとジェリーと現実の世界を融合させた。例えば、一流ホテルにジェリーが作った彼専用の小さくもゴージャスな部屋。ジェリー用の小さなドアは本当にセットに作られたものだが、部屋内部は全てCGIで作られている。また、撮影現場では俳優たちがイメージしやすいようにとパペットを操る人形遣いがいたほか、ブルドッグのスパイクは実際に人間が演じていたという。
「こういうことは今までやったことがなかったから、面白かったよ。トムはしゃべらないから、パペットは想像していたよりも役に立ったんだ。人形遣いはパペットを操るのが本当に上手くてね。スパイクはパペットもあったけれど、実際に人間が演じてもいたんだ。地面を駆け回る、吠える、といった、僕たちに必要なことをやってくれた。マイケル・ペーニャにはスパイクとのシーンがたくさんあったから、実際に演じる相手がいて助けになっていたと思う」
実写での撮影後は、トムとジェリーたちを追加するアニメーションの作業に。ストーリー監督は「難しくて、時間がかかることだった。映画を1回ではなく、2~3回監督しないといけないからね(笑)。時間はかかるけれど、僕たちにたくさんの自由を与えてくれるやり方でもあった」と制作を振り返っていた。(編集部・市川遥)
映画『トムとジェリー』は3月19日より全国公開