「愛の不時着」「トッケビ」…ヒット作ばかり!韓国・スタジオドラゴンはここがスゴい!
2020年、コロナ禍の中で巻き起こった第4次韓流ブーム。なかでも、ブームに火をつけるきっかけになったドラマ「愛の不時着」はNetflixで配信されて以降、一年を過ぎてもなお人気が衰えていない。そんな「愛の不時着」をはじめ、クオリティーが高いと評判の韓国ドラマの多くを手掛けるドラマ制作会社 STUDIO DRAGON(スタジオドラゴン)に注目したい。
スタジオドラゴンとは、映画『パラサイト 半地下の家族』に出資・配給したことで知られる韓国大手企業CJグループ傘下の総合エンタメ企業 CJ ENM のドラマ事業部から独立し、2016年に子会社として設立された。まだ歴史は浅いが、潤沢な資金力をバックに急成長。龍の形をあしらった、同社のロゴマークを目にしたことがある人もいるだろう。
代表作をあげてみよう。コン・ユ主演で日本をはじめアジア圏で大ヒットした「トッケビ~君がくれた愛しい日々~」、大倉忠義と広瀬アリスでリメイクされた「知ってるワイフ」や、「梨泰院クラス」で人気急上昇のパク・ソジュン主演の「キム秘書はいったい、なぜ?」、イ・ビョンホン主演の「ミスター・サンシャンイン」、そのほか「秘密の森~深い闇の向こうに~」「スタートアップ:夢の扉」「青春の記録」などヒットドラマを次々と輩出しているのだ。
同社は、年間約30本のドラマを企画・制作し、Netflixで配信された「サイコだけど大丈夫」は香港・台湾などアジア各国で1位を獲得。今や韓国を代表するドラマ制作会社として知られることとなった。ちなみに、同社の2019年の年間売上高は4687億ウォン(約446億円)だったが、2020年はそれを上回る5257億ウォン(約500億円)を得て、歴代過去最高の売上高を記録している。
なぜ、スタジオドラゴンが良質なドラマを次々に量産できるのか。それは、同社がコンテンツの企画・開発から資金調達、プロデュース、流通までを一手に手掛けられる組織であり、いわゆるテレビ局の下請け的な存在ではないことだ。そして、ヒットクリエイターたちを226人も抱え込んでいる。たとえば、「愛の不時着」の脚本家パク・ジウン、「トッケビ」の脚本家キム・ウンスクに監督イ・ウンボクなど、ヒットドラマを手掛けてきたトップクリエイターたちが同社に所属している。だからこそ、人気作を量産でき、また既存のスタイルに捕らわれることなく、新しい試みにも果敢にチャレンジできるというわけだ。
2019年に、スタジオドラゴンのポテンシャルに目を付けたNetflixは株式4.99%を取得し、2020年から3年間で21本のドラマの供給や制作で協力する契約を締結。今後はよりNetflixオリジナルシリーズも増えることだろう。2020年12月末に配信された「Sweet Home~愛と世界の絶望~」は、同じくスタジオドラゴンが手掛けたNetflixオリジナルシリーズ「恋するアプリ Love Alarm」でブレイクしたソン・ガンを主演に据えた近未来ホラーアクションで、海外での人気も高い。
ほかスタジオドラゴン作品としては、高校生の主人公が凶悪犯に憑依した悪霊を退治にするファンタジーアクションの「悪霊狩猟団:カウンターズ」が多くのファンを獲得。さらに、配信されたばかりのNetfix映画『スペース・スウィーパーズ』で主演を担うソン・ジュンギが、イタリア帰りの弁護士にふんして活躍するダーク・サスペンスの「ヴィンチェンツォ」が配信中だ。
そのほか、同社作品としては人気WEBマンガをドラマ化した「女神降臨」やファンタジー時代劇「哲仁王后」と次々に多彩な作品を生み出している。「愛の不時着」のようなメガヒット作が2021年、また生まれるのか。ドラゴン印のドラマから目が離せそうにない。(文・前田かおり)
お詫びと訂正:初出時に一部作品タイトルに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。