『モンハン』実写版、原作「MHW」に出ないモンスターがなぜ登場?カプコン開発者が理由明かす
カプコンの大ヒットゲーム「モンスターハンター:ワールド」(以下「MHW」)のエグゼクティブディレクター兼アートディレクターを務めた藤岡要がインタビューに応じ、同作をベースにした映画『モンスターハンター』(公開中)に「MHW」以外のモンスターが登場する理由について語った。(以下、映画のネタバレを一部含みます)
今回のハリウッド実写版は、原作ゲームの大ファンであるポール・W・S・アンダーソン監督が10年以上前から企画していたもの。劇中では、2018年に発売された「MHW」よりリオレウスやディアブロス亜種が登場しているが、中には2013年発売の「モンスターハンター4」(以下「MH4」)のパッケージモンスターであるゴア・マガラや、影蜘蛛ネルスキュラといった「MHW」以外の作品で登場したモンスターも姿を見せている。
藤岡によると、ゴア・マガラやネルスキュラ登場は、映画の脚本がリライトされたことが影響しているという。「監督の方から(ゴア・マガラたちを)出したいという要望があったんです。というのも、今のシナリオになる前、別の世界観を描いた脚本があった時にMH4がベースだったので、その当時登場していたモンスターが脚本に入っていたんです。その後リライトされた新しい脚本にも、そのイメージが生かされているのだと思います」
「MHW」に登場する新大陸にも、ゲームでは触れられていない未開の地が多く存在しており、この設定も実写版へのゴア・マガラやネルスキュラ登場を後押しした。「MHWの新大陸はゲーム上、ネルスキュラは登場していないのですが、ゲームでは新大陸の一部しか描いていないので、調査が進んでいくうちに新しい砂漠が発見されたというのは全然アリだなと思いまして。ネルスキュラがそこに生息していたとか、そういった流れであれば大丈夫ですという形で、ゴア・マガラなどが登場しているんです」
ゴア・マガラのビジュアルは、テストショットの段階である程度仕上がっていたそうで、「雰囲気はすごくありましたし、カッコいいなって思いました」と藤岡。一方で、ネルスキュラは本格的に登場が決まってから製作が始まったといい、「ゲームのモデルもローモデルしかなく、ハイエンドなものがない中で、先方にかなりアレンジして頂きました」と「MH4」からビジュアルが異なっていると明かした。
劇中で主人公・アルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を襲うネルスキュラの大群も、映画でしか見ることができない特殊な光景だ。藤岡は「トゲの形が一匹一匹違かったりとか、モンスターの皮を被ってたりそうでなかったりっていうのも、色々アレンジしていいですかと(映画のスタッフから)要望がありました」と語ると、「生態の設定をお伝えして、それをディスカッションしながら上手くアレンジして頂きました」と笑顔。原作ゲームからビジュアルが進化し、思わず身震いしてしまうほど不気味になったネルスキュラの動きにも注目だ。(取材・文:編集部・倉本拓弥)