コロナ禍でメイン会場を新潟へ!グリーンイメージ国際環境映像祭
環境をテーマにした第8回グリーンイメージ国際環境映像祭が3月26日~28日に開催される。今年はコロナ禍の影響を鑑みて会場とオンラインのハイブリット型で行われるが、メイン会場をこれまでの東京・日比谷図書文化館から新潟・十日町市松代の道の駅まつだいふるさと会館常春ホールに移した。東京の緊急事態宣言発令期間が不透明だったこともあるが、新型コロナウイルス感染症対策をきっかけに新たな映画祭の形を作っていきたいという。
十日町市松代地区とグリーンイメージ国際環境映像祭の出会いは、昨年3月にさかのぼる。同映像祭の尾立愛子事務局長は、環境に配慮した持続可能な社会形成のためにも馬搬(ばはん)の技術普及と振興を目的とした一般社団法人・馬搬振興会の理事も務めており、同地区から「林業で馬を使ってみたい」の声に応えて研修会を実施したという。
それがきっかけで、尾立事務局長自身が松代地区で見つけた棚田を使って、馬耕で育てた酒米を使った日本酒のプロデュース事業を地元酒造の蔵元と立ち上げたり、アフリカから新潟に来ている留学生に馬耕を使った農業技術の研修を行うなど地域との交流を育んできた。
そんな最中に持ち上がった、コロナ禍でのグリーンイメージ国際環境映像祭の開催を巡るプラン。十日町市は2000年から世界最大級の国際芸術祭として国内外に知られる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を開催し、文化芸術に非常に理解があることから、ここをメイン会場とする案が持ち上がったという。
尾立事務局長は「映画祭のオンライン開催が普及して、今までだったら1つの会場でしか観せられなかった作品を、多忙でなかなか映画祭に参加できない会社員や学校の先生も含めて、全国の人に観ていただくことが可能になりました。ならばフィジカルな映画祭は、環境映像祭ならではの自然豊かな田園風景のある十日町で開催しましょうとなりました。コロナ禍じゃなければ知り合えなかったかもしれません」と語る。
今年のコンペティション部門選出作品は、原一男監督『水俣曼荼羅』(2020)、福島第一原発事故以降の飯館村を追い続けている豊田直巳・野田雅也共同監督『サマショール ~遺言 第六章』(2020)、さらに気候変動による氷河の溶解が懸念される『パキスタン — 溶けゆくヒマラヤ』(シンガポール・2020)など地球の今を知る12本を上映。
上映後に国内外に住む参加監督や関係者をオンラインでつないでトークイベントを開催するほか、特別プログラムとして「馬搬馬耕-里山での多様な馬の利活用の未来」と題したシンポジウムも開催される。
尾立事務局長は「今回はテストケースとして、今後は映像祭の参加監督を地元の農家に宿泊してもらう“アーティスト・イン・レジデンス”や、馬耕や農業のワークショップも開催し体験型の映画祭も考えています。そしてわたしたちの活動が、地方創生の一助になれたらうれしいです」と語った。(取材・文:中山治美)
第8回グリーンイメージ国際環境映像祭は3月26日~28日に新潟・道の駅まつだいふるさと会館常春ホールとオンラインで開催