「青天を衝け」小林薫、渋沢栄一の父は「熱い人」 吉沢亮との共演語る
吉沢亮主演の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほかにて放送)で渋沢栄一の父・市郎右衛門を好演する小林薫が、市郎右衛門の人柄や魅力、吉沢との共演について語った。
本作は、「日本資本主義の父」と称され、新一万円札の顔としても注目される実業家・渋沢栄一(吉沢)の波乱に満ちた軌跡をたどる物語。小林は、大河ドラマでは「峠の群像」(1982)、「おんな城主 直虎」(2017)などに出演。「青天を衝け」で演じる市郎右衛門は「中の家(なかんち)」を立て直すため婿養子として入った、大変な働き者で頼もしい主。勤勉で家業の研究に余念がなく、養蚕、藍玉の製造・販売などで年中忙しくしている。藍玉づくりの名手と呼ばれる一方で、村のまとめ役としてリーダーシップを発揮している。
頑固で厳格に見える市郎右衛門だが、破天荒な栄一の生き方を誰よりも支援した人物でもあり、小林は彼を「熱い人」と評する。「栄一もそうですけど、実は市郎右衛門もかなり熱い人なんだなという気はしています。みんなが豊かになることが幸せなんだ、という考え方を語っているところがあって、そういった思いを持ち合わせた熱い人だと思います。市郎右衛門には厳しい一面も確かにあるのですが、一方ですごく愛情豊かというか、深いところで栄一の事をすごく愛しているのだと思います」
栄一は官尊民卑がはびこる身分制度に怒りを覚え、百姓からの脱却を決意。千代(橋本愛)と結婚したのちは、いとこの惇忠(田辺誠一)や喜作(高良健吾)と共に尊王攘夷に傾倒し、波乱の運命をたどっていくが、市郎右衛門はそんな栄一にどんな思いを抱いているのか。
「栄一に対して『お前にはお前の人生がある』と思っている節が市郎右衛門にはあります。当時は『家』を中心に物事が考えられていたと思いますし、そこからはみ出ようとするならば『百姓の分でとんでもないことだ』と止められる時代だったと思います。そういった時代に“攘夷の志士になる”と言う栄一を止めるのでは無く、信頼して江戸や京都へ送り出しているのをみると、とても見事な人だと思います。栄一は時代がざわついているのを敏感に感じ取って旅立っていきますが、一方で市郎右衛門自身もどこか時代が大きく動き出したのを感じ取ったように思います。栄一の思いに対して非常に理解があった人物であったのはもちろん、それだけでは無く時代の機微みたいなものを市郎右衛門も感じていたような気がします」
栄一役の吉沢とは、本作が初共演となる。小林は吉沢の印象を「見ていて、良い“気”が流れている方だと思います」と言い、その魅力について以下のように触れている。「『青天を衝け』で描かれるのは時代の転換期ですし、『この人が時代を変えていくんだ!』という、そういう“気”を持っている方ではないでしょうか。古い考え方に属していると役柄と芝居が一致しないところがどこか出てくるものですが、一緒に演じていくうちに吉沢さんからは不思議とそういった大きな時代の変わり目を演じる新世代の“気”を感じています。もちろん吉沢さんは多彩な演技力もお持ちですが、それだけではないバッと見たときの“勢い”や“雰囲気”を持ち合わせてるような印象を抱きました」(編集部・石井百合子)