『ゴジラvsコング』は勝者を描く!監督が勝敗にこだわる理由
怪獣王ゴジラとキングコングが激突する映画『ゴジラvsコング』でメガホンを取ったアダム・ウィンガード監督が、本作における二大モンスターの対決について、勝敗にこだわったと明かした。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に続くモンスター・ヴァースの第4弾となる本作では、かつて日本で制作された『キングコング対ゴジラ』(1962)以来となる、夢のマッチメイクが再び実現。幼いころからゴジラ映画を愛し、『キングコング対ゴジラ』も大好きだというウィンガード監督は「今回の映画に出てくるコングの空輸シーンは、『キングコング対ゴジラ』からインスピレーションを得たんだ。オリジナル版ではコングをバルーンで運んでいたけど、さすがにそれはないだろうってことで、ヘリで空輸することにしたけどね」と怪獣オタクぶりを発揮する。
そんなウィンガード監督が本作でこだわったのは、二大モンスターのバトルにおいて、どちらが勝ったかを描くこと。「子供のころ、『キングコング対ゴジラ』で唯一ひっかかったのが、勝者があいまいってことだった。今でも鮮明に覚えているのが、小学2年生の頃、一番の親友と、ゴジラとコングが戦ったらどっちが勝つかで、ガチのケンカになったことだ。僕のなかでは、明確な答えがあったからね。それ以来ずっと、自分のなかでもやもやが消えなかったから、この映画のオファーをもらった時は、数十年来の思いに決着が着けられるぞ! って思ったよ」
これまで低予算ホラーなどで先鋭的なビジュアルセンスを発揮してきたウィンガード監督だが、本作のような、ブロックバスター映画への抜擢に喜びを隠さない。「低予算映画を作る一方で、大好きな『エイリアン』や『スター・ウォーズ』のようなSFスペクタクルを監督したいとも思っていたから、今回のオファーには大興奮だったよ。こうした大作は、脚本段階で予算の心配をする必要がないのが良い点だ。自分のイマジネーションの限界に挑戦する、充実した体験だったね」
その言葉の通り、本作では全編にわたって監督のイマジネーションが爆発。「企画に参加した時点では、まだ数ページくらいのアウトラインがあるだけの状態で、そこからアイデアを追加していった」といい、予告編でも強烈なインパクトを放つ航空母艦上での対決など、ゴジラとコングによる、奇想天外なバトルが展開する。
「海上の戦いも、アウトラインの段階では、空母上で戦うと書いてあるだけ。こっちも専門家じゃないからね、本当にできるのか? って思ったよ(笑)。スタッフに実際のスケールや重量を想定してリサーチしてもらい、ゴジラとコングが乗っても船は沈まなそうだってわかってから、今まで誰も見たことがないものを作ろうとアイデアを加えていった。あそこは最大の見せ場のひとつになると感じていたからね」
「僕は子供のころから常にゴジラやコング映画をテレビで観て育った世代だ。彼らが存在しない世界なんて想像もつかないし、僕くらいの世代はみんなそうじゃないかな」というウィンガード監督にとって、本作は自身の原点を振り返る経験でもあったようだ。「そもそも『ゴジラ』作品は、ブロックバスター映画の元祖でもあると思う。自分にとってもルーツをさぐるような気分で、怪獣への愛着や映画愛そのものに火をつけられたような経験だったよ」。(編集部・入倉功一)
映画『ゴジラvsコング』は近日公開