アンソニー・ホプキンスが認知症の父親を熱演…オスカー受賞『ファーザー』本編映像
アンソニー・ホプキンスが第93回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した映画『ファーザー』(5月14日公開)より、認知症を患った父親を演じるホプキンスの熱演を切り取った本編映像が公開された。
第93回アカデミー賞では、主演男優賞とともに脚色賞(クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール)の受賞も果たした本作。世界30か国以上で上演された舞台をもとに、認知症を患い、次第に自分自身や家族のことも分からなくなっていく年老いた父親と、その娘や周囲の人々の関わりが描かれる。史上最高齢で同賞を受賞した現在83歳の名優アンソニー・ホプキンスが、自身と同名で生年月日も同じ主人公を演じた。
今回公開されたのは、認知症を患ったアンソニーと、オリヴィア・コールマンふんする娘のアン、そしてネクストブレイクの呼び声も高いイモージェン・プーツ演じる介護人ローラがリビングでくつろぐ様子を捉えたシーン。周囲の困惑を引き出す、現実と幻想の境界が曖昧になっていく主人公の姿が圧倒的な演技で表現されている。
冒頭、ローラから何の仕事をしていたかを尋ねられたアンソニーが「ダンサーだった」と答えると、すぐさまアンは「お父さん、エンジニアでしょ」と訂正。すると「知らないくせに。タップが売りだった」とアンソニーが茶目っ気たっぷりに踊り出し、思わず笑い出すローラ。アンソニーはローラの姿を見て「下の娘のルーシーの若い頃にそっくりだな」と問いかけ、アンは「そうかも」と答えるも複雑な表情を浮かべる。笑い続けるローラにアンソニーは「意味もなく愚かに笑うところがそっくりだ。してやったな」と暴言とも取れる言葉を吐き、楽しい時間が一転してしまう。
本作では、現実と幻想の境界が曖昧になっていく父の視点で物語が描かれ、果たして何が真実なのかを問いかける画期的な映像表現が実現。本作の監督を務めたフロリアン・ゼレールは原作舞台を手掛けており、長編映画としては初監督作品となる。(編集部・大内啓輔)