篠原ゆき子、コロナ禍のストレスで円形脱毛症に 主演映画完成に涙
女優の篠原ゆき子が21日、よしもと有楽町シアターで行われた映画『女たち』(6月1日公開)のイベントに、共演の倉科カナ、スペシャルMCの笠井信輔と共に出席。円形脱毛症になるほど精神的にもハードな撮影だったことを明かすとともに、無事作品が完成したことに涙する場面もあった。
映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』や『エリカ38』など数々の話題作を手掛けてきた奥山和由プロデューサーが製作を務める本作。山あいの田舎町を舞台に、老いた親の介護や心の病など、それぞれに事情を抱え、悩みの袋小路に追い込まれたギリギリの女たちの生きざまを描く。『おだやかな日常』などの内田伸輝がメガホンを取った。
就職氷河期世代で、仕事も恋もうまくいかず、故郷に戻り半身不随の母・美津子(高畑淳子)の介護をしながら学童保育所で働くアラフォーの独身女性・美咲を演じた篠原。脚本作りに自ら参加するなど、並々ならぬ思いで挑んだ撮影だったが、不幸が次々に訪れるハードな役に「本当に精神的に辛かったです。気分転換にご飯に行きたいと思っても、コロナ禍で行けず、役から離れる時間がなかった。そのときのストレスでのちに円形脱毛症になってしまったぐらい」と振り返る。
特に高畑演じる美津子との対峙は「本当にすごかった」と篠原はしみじみ語ると「モスクワ映画祭のオンライン記者会見で『お母さん役の女優さんは本当にハンディキャップがある方なのか?』という質問があったぐらい」と貴重な経験だったことを明かした。
美咲の心の支えとなる親友・香織を演じた倉科は、本作のために長い髪をバッサリと切って撮影に臨んだ。倉科は「わたしが演じた香織という女性は、どこかで女を憎んでいる感じがして、髪の毛に気を使っている姿が想像できなかった」と自ら監督やプロデューサーに提案したと述べると、後半豪雨のなか、10分以上にも渡る長回しのシーンについて「台本では晴れ設定だったんです」と裏話を披露。
それでも倉科は「やりましょう」と自身から言い出したことを明かすと「今回の映画は、天気もそうですが、どんなマイナスに感じる出来事もすべて作品の力になるような気がしたんです」とアクシデントも味方につける力が本作にはあったと語る。さらに劇中で倉科が飲んだワインも「全部本物だったんです」と笑顔を見せると「髪を切ったことも、このエピソードも、役に向き合う上では普通のこと」とあっけらかんと話していた。
本来ならこの日が公開予定だった本作。新型コロナウイルス感染拡大により発出された緊急事態宣言が延長されたことにより、公開日が6月1日に延期された。篠原は「コロナ禍で本当に公開ができるのか、わからなかった」と胸の内を明かすと言葉に詰まり涙ぐむ。続けて篠原は「わたしはこんな素敵なところに立たせてもらえる人生だと思ってもいなかったのですが、こうしてここに立っています。もっとシビアでこの先がわからない人もたくさんいると思うのですが、もしかしたら、明日いいことがあるかもしれない。そう思ってこの映画を観ていただければ」と熱い思いを吐露していた。(磯部正和)