役所広司、3度目の細田守作品 『竜とそばかすの姫』で主人公の父親役
俳優の役所広司が、細田守監督の新作『竜とそばかすの姫』(7月16日公開)で主人公の父親の声優を務めることが28日、明らかになった。細田作品は『バケモノの子』(2015)、『未来のミライ』(2018)に続き3作目となり、本作でも監督からオファーを受けての参加となった。役所は「出来上がりはまだ想像もつきませんが、監督の作品は非常にダイナミックな一方、家族を丁寧に繊細に描き、子どもが大きく成長する物語が多いので、この映画を見て、コロナ禍の中ですが、子どもたちが、前向きに生きる勇気や希望が持てるようになることを期待しています」と作品の完成に期待を込めている。
本作は、高知の田舎町で父とふたりで暮らす17歳の女子高生すずが、50億人以上が集う超巨大インターネット仮想世界<U>で未知との遭遇を経て成長していく物語。母の死をきっかけに歌うことができなくなっていたすずが、<U>に歌姫「ベル」として参加し、その歌声でたちまち世界に注目される存在になっていく。
役所演じるすずの父親は、妻を突然亡くした傷を抱え、思春期の娘との接し方や距離感に頭を悩ませる設定。娘とうまく言葉を交わせないながらも温かく見守っている。『バケモノの子』では主人公の熊徹を担当。アニメーション作品での声優は『未来のミライ』のじいじ役以来、3年ぶりとあって「アフレコは緊張しました」というが、細田監督は「役所さんの演じたすずの父のお声から娘(すず)がどういう状態でも受け止める、という父親の覚悟を感じました! 役所さんに演じていただけて、本当に光栄です」と絶賛。
アフレコの合間には細田監督と、「子供が女の子だと、お父さんは近寄りがたいとか、気を遣っちゃうみたいなこともありそうですよね……」(役所)、「男の子でも、お父さんと距離がある瞬間みたいなものはありましたか?」(細田監督)、「後から聞くと、気を遣っていたという話はしましたね……」(役所)と親同士の雑談もあったという。
これまで、主人公すず(ベル)と竜を除く声優が発表されており、成田凌、染谷将太、玉城ティナ、幾田りら、森川智之、津田健次郎、小山茉美、宮野真守、森山良子、清水ミチコ、坂本冬美、岩崎良美、中尾幸世らが名を連ねる。
役所のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)
役所広司(すずの父親役)
細田監督の大ファンで、作品をいつも楽しみにしているので、『バケモノの子』『未来のミライ』と続き、今作も参加できてとても嬉しいです。今回は主人公の父親役で、出来るだけ絵の雰囲気に近いやさしさと思春期の娘を持つ父親の距離感を大切に、互いに深い傷を持ちながらも寄り添っていく過程を表現できたらいいなと思いながら演じました。娘のすず役の方は、張った声もささやく声も素敵で、声のコントロールが自在にでき、歌も素晴らしかったです。監督の絵コンテを観ると、自由な発想がそのまま映像になるアニメは、つくづくすごいなと感じます。高知と<U>の風景のギャップは、メリハリが効いていて、この映画の醍醐味だと思います。僕はSNSには疎いですが、若い方々は身近に感じながら生活しているので、今作で自分がインターネットの中で生きている姿を客観的に見ているような不思議な体験ができるのではないでしょうか。出来上がりはまだ想像もつきませんが、監督の作品は非常にダイナミックな一方、家族を丁寧に繊細に描き、子どもが大きく成長する物語が多いので、この映画を見て、コロナ禍の中ですが、子どもたちが、前向きに生きる勇気や希望が持てるようになることを期待しています。