緋村剣心VS沖田総司の決闘シーン!『るろうに剣心 The Beginning』撮影現場レポート
2019年2月、映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』より、緋村剣心と沖田総司の決闘シーンが京都市内で撮影された。
【写真】『The Beginning』のため、体を絞った佐藤健
佐藤健が主人公・緋村剣心役を務め、和月伸宏の人気コミックを実写化した本シリーズ。最終章は現在公開中の『るろうに剣心 最終章 The Final』と、6月4日から公開となる『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の2部作。『The Final』はこれまでのシリーズの続編という位置づけであったが、『The Beginning』は剣心が“人斬り抜刀斎”と呼ばれていた時代の物語で、『The Final』でも触れられた剣心の十字傷にまつわる過去が描かれる。
この日、京都市内の御室八十八ヶ所霊場で撮影が行われたのは、剣心が新選組のメンバーとして知られる沖田総司と対決するシーン。ワイヤーを使ったアクションにも挑み、沖田を演じるのは、若手実力派の村上虹郎だ。剣心を「血も涙もない、ただの人斬り」と敵対視しながらも、自分と同じ匂いも感じている沖田。二人は“池田屋事件”の日、ついに剣を交わすこととなる。
「村上虹郎はいい意味で生意気で、個人的に大好きな若者」と撮影の合間を縫って語ったのは、メガホンを取る大友啓史監督。「これだけの期間(剣心を)やっていると、役者はどうしても佐藤健にのまれちゃったりするんですよね。でも彼(村上)自身が物怖じしない性格だから、全然それもなく、本当にしなやかで面白い立ち回り。フィクションの登場人物が歴史上の人物と戦うっていうのは、ロマンがあるなと。現実にいた人物が、目の前でフィクションの人物と戦っている。やっぱりどこか魅力的なシチュエーションなんですよね」と胸を膨らませる。
一方、佐藤ふんする剣心がこの日、身にまとっていたのは、これまでのシリーズでのトレードマークともいえる赤い着物ではなく、黒の着物。手にしているのは、不殺(ころさず)の誓いを立てた逆刃刀ではなく、真剣。頬にあるのも十字傷ではなく、一筋の傷。そこに立っていたのは、今まで見てきた剣心の姿ではない。『The Final』と『The Beginning』は合わせて7か月にわたる大規模な撮影だったが、佐藤は『The Final』を撮影してからすぐに『The Beginning』の撮影に入り、また『The Final』の撮影に戻るという過酷なスケジュールの中で、二つの時代の剣心を演じ分けなければならなかった。
「正直言うと2作を一緒にこの期間にやるっていうのは、ものすごく心配していました。役者の準備とか撮影の段取りとか、いろいろ必要な用意すべきことを考えると、ひと月空けないと無理ではないかと思っていました」と大友監督も漏らす。そんな中、佐藤は影の暗殺者“人斬り抜刀斎”として恐れられた若かりし時代の剣心を演じるため、『The Final』の撮影から約2週間後に行われた『The Beginning』の衣装合わせの日、体を絞った姿で現れたという。
「一目見たときに体が細くなっていたし、『The Beginning』の“人斬り抜刀斎”に向けて体を作ってきているのは明らかでしたね。衣装合わせでの彼の姿を見た瞬間にやっぱり僕らは心を打たれるわけですよ。そこまでの思いがあるんだと」と振り返る大友監督。「その負担を一人の役者に強いていいのかっていうところは、僕としては一番あるんですよね。ただ、そこを彼は乗り越えてきているので、俺たちもちゃんとやらないとな、と」と佐藤の熱い思いが監督たちの士気をさらに高めた。
さらに、監督は脚本の段階から佐藤と “人斬り”時代の剣心について話し合い、共にキャラクターを作り上げてきたといい、「1作目の時から佐藤健はやりたかったんですよ、『The Beginning』を。誰よりも剣心を生きてきた人で、誰よりも剣心について考えている。信用できる役者ですね」と信頼を寄せた。(取材・文:編集部・中山雄一朗)