『MOTHER マザー』で熱演の奥平大兼、日本映画批評家大賞の新人賞に決意新た「何かを与えられる俳優に」
第30回日本映画批評家大賞の授賞式が31日、新宿文化センターで行われ、映画『MOTHER マザー』で新人男優賞を受賞した俳優の奥平大兼が出席。映画公開から約1年が経ったなか、俳優業への新たな決意を語った。
映画『MOTHER マザー』は、2014年に実際に起きた祖父母殺害事件をベースに、社会の底辺で生きるシングルマザーと息子を取り巻く過酷な現実を描いた作品。奥平は、長澤まさみ演じる母・秋子の異常執着を受け、翻弄される息子・周平を熱演した。
新人男優賞の受賞理由について「決してセリフの多い役ではなかったが、映画全体に流れる閉塞感に見事に溶け込んでいた」と評価された奥平。やや緊張気味に壇上に登場すると「栄誉ある映画賞をいただきありがとうございます」とあいさつ。
続けて「今年の7月で『MOTHER マザー』が公開されてから1年が経ちます。同時に僕の俳優活動も1年が経ちました。この1年間で、いろいろな人や作品との出会いがありましたが、まだまだ自分のなかで自信が持てないことが多いです」としみじみと胸の内を明かす。また、本賞をはじめ、数々の映画賞で新人賞を受賞したことや、作品に携わったスタッフの励ましのおかげで「自分に自信が持てるようになりました」と笑顔を見せた。
デビューから1年、これまでは「自分が勇気をもらう側でした」と語った奥平。しかし「次の1年は、自分がなんらかの形で、誰かに何かを与えられる役者になりたいと思います」と強い視線で今後の飛躍を誓った。(磯部正和)
第30回日本映画批評家大賞の主な結果は以下の通り
作品賞:『星の子』
監督賞:大九明子(『私をくいとめて』)
主演男優賞:中村梅雀(『山中静夫氏の尊厳死』)、津田寛治(『山中静夫氏の尊厳死』)
主演女優賞:のん(『私をくいとめて』)
助演男優賞:宇野祥平(『罪の声』)
助演女優賞:浅田美代子(『朝が来る』)
新人女優賞(小森和子賞):服部樹咲(『ミッドナイトスワン』)、佳山明(『37セカンズ』)、吉本実憂(『瞽女 GOZE』)
新人男優賞(南俊子賞):奥平大兼(『MOTHER マザー』)、宮沢氷魚(『his』)
新人監督賞:内山拓也『佐々木、イン、マイマイン』、HIKARI『37セカンズ』、佐藤快磨『泣く子はいねぇが』
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):火野正平(『罪の声』)、田中裕子(『おらおらでひとりいぐもも』)
ダイヤモンド大賞:大林宣彦
脚本賞:天野千尋(『ミセス・ノイズィ』)、入江悠(『AI崩壊』)