『るろ剣』武井咲から漂う「昭和の女優の香り」 大友啓史監督が魅力を語る
大ヒット公開中の映画『るろうに剣心 最終章 The Final』で、前2作から約5年ぶりにヒロインの神谷薫を演じた武井咲。そんな彼女が最新作で見せた変化や魅力について、メガホンをとった大友啓史監督が語った。
第1作『るろうに剣心』の撮影当時17歳だった武井。和月伸宏の大人気漫画を実写化するという大プロジェクトのヒロインに、当時まだ映画の現場経験が多くないフレッシュな若手だった彼女を抜てきした経緯について、大友監督は「薫は、17歳の道場主。ものすごく健気な女の子だから、やはり演じるのも17歳がいいと1作目の時に思いました。テレビのある番組で武井さんが紹介されていて、これだ! と。スタッフにすぐ伝えたんです」と振り返る。
そんな武井が結婚、出産を経て5年ぶりに神谷薫役に挑んだ『るろうに剣心 最終章 The Final』。剣心(佐藤健)に忘れられない亡き妻がいることを知って衝撃を受けながらも、彼を傍で支える薫を演じた武井について、大友監督は「今回、5年後の武井さんも発見でした」とこれまでとの変化を感じたという。
「プライベートでは結婚してお子さんも生まれ、一言で言えば大人になりました。生活は演技に還元されていく。どういうレベルで日々の生活を送るかによって、演技の幅は変わってきます。巴(※剣心の亡き妻)と剣心の関係性への想いも含め、5~6年前なら思い至らなかったであろうことに深く感じ入るようになっていました」
クランクインは、神谷道場メンバーが馴染みの店“赤べこ”に集うシーンだった。「初日に撮った『赤べこ』のシーンでは、撮影現場に戻ってきた興奮とか喜びが、はしゃいだ感じの芝居に繋がって、いい感じでシーンになじんでいました(笑)」という大友監督。「剣心の過去を知ってからは表情がぐっと、大人の表情に変わっていく。明解な意思をもって、各シーンに臨んでいましたね。いいタイミングで、今回の薫を演じることになったのだと思います」と語っており、今回の映画の内容や撮影時期が武井自身の成長とピッタリ合ったようだ。
さらに、大友監督は「彼女には、どこか昭和の女優の香りとか風格が醸成されつつある」と武井の魅力を表現する。「真っ当な生活の中から生まれるものの大切さを知っているというのかな。それが、しっかり演技に反映されつつあります。いまは、武井さんで撮ってみたい企画も、僕の中に育ちつつありますね」という言葉も飛び出し、大友監督と武井の新たな企画の可能性にも期待が高まる。
最終章2部作の第1弾『るろうに剣心 最終章 The Final』は、剣心の十字傷の謎を知る最恐の敵・雪代縁(新田真剣佑)と剣心が死闘を繰り広げる物語。それに続く最終章2部作の第2弾『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(6月4日より公開)では、剣心の過去、そして頬に刻まれた十字傷にまつわる物語が展開する。(編集部・吉田唯)