濱口竜介監督、2度目のカンヌ映画祭コンペ出品!村上春樹原作×西島秀俊主演『ドライブ・マイ・カー』
第74回カンヌ国際映画祭
村上春樹の短編小説を西島秀俊主演で映画化する『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)が、7月6日より開催される第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されることが3日、明らかになった。監督の濱口竜介にとって、同部門への出品は2018年公開の『寝ても覚めても』以来、2度目。濱口監督は「歴史あるこの映画祭で、多くの観客がこの映画と初めて出会うことを想像して湧き上がるような興奮を感じています。この映画に写った素晴らしい俳優たちの演技を、そこから世界に向けて示せることにワクワクします。この映画に携わったすべてのキャスト・スタッフ、そして原作者の村上春樹さんにこの場を借りて、心からの御礼を申し上げます」とコメントを寄せている。
本作は、村上の短編小説集「女のいない男たち」所収の同名短編を映画化。妻を亡くした喪失感を抱える俳優・演出家の家福(西島)が2年後、演劇祭で広島へ向かうなかで寡黙な専属ドライバーのみさきと出会い、彼女と過ごすうちにそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。みさきに歌手としても注目を浴びる三浦透子。キーパーソンとなる俳優・高槻耕史に岡田将生、家福の妻・音に映画『ノルウェイの森』の霧島れいかがふんする。
カンヌ国際映画祭はベネチア、ベルリンに並ぶ世界三大映画祭のひとつ。最高賞パルムドールを競う「コンペティション部門」では、日本人監督の作品としては衣笠貞之助監督の『地獄門』(1953)、黒澤明監督の『影武者』(1980)、今村昌平監督の『楢山節考』(1983)『うなぎ』(1997)、是枝裕和監督の『万引き家族』(2018)が同賞を受賞。2019年には韓国のポン・ジュノ監督作『パラサイト 半地下の家族』が受賞した。
2度目のカンヌコンペ出品となる濱口監督は、今年3月に短編集『偶然と想像』(2021)で第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞したばかり。黒沢清監督が第77回べネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『スパイの妻』(2020)では脚本を手掛けている。
併せて、本作の上映尺が2時間59分であることも発表され、フランスでの公開も決定している。
濱口監督、出演者の西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいかのコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
濱口竜介監督
先日完成を迎えた映画『ドライブ・マイ・カー』が、第74回カンヌ国際映画祭オフィシャルコンペティションに選出されました。歴史あるこの映画祭で、多くの観客がこの映画と初めて出会うことを想像して湧き上がるような興奮を感じています。この映画に写った素晴らしい俳優たちの演技を、そこから世界に向けて示せることにワクワクします。この映画に携わったすべてのキャスト・スタッフ、そして原作者の村上春樹さんにこの場を借りて、心からの御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。未だコロナ禍の困難な状況下ではありますがカンヌの地を、ともにこの映画を作った仲間たちと踏むことができたらこの上なく幸せなことです。今は上映のその時を心待ちにするばかりです。
西島秀俊
濱口監督は、恋人や友人同士の心の機微を厳しく、美しく描いてきました。今作品、村上春樹さん原作の映画『ドライブ・マイ・カー』では家族について、そしてより遠い人との関係について描いています。絶望の果てに人は再生出来るのか。撮影をしながら監督はずっと問い続けていたと思います。監督が人間について深く思考し愛情を注いだ『ドライブ・マイ・カー』のカンヌ映画祭コンペ部門選出を心から嬉しく思います。濱口監督、おめでとうございます。沢山の皆さんに観て頂けることを祈っております。
三浦透子
沢山の方の目に触れる大きな機会をいただけたこと、本当に嬉しく思います。心から尊敬できるスタッフ・キャストの皆さまと一緒に仕事ができて、本当に幸せな時間でした。改めて、『ドライブ・マイ・カー』という作品に参加させていただけたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。海の向こうの方々にどんな風に届くのか、今からとても楽しみです。
岡田将生
こんな嬉しいニュースはありません。キャスト、スタッフは監督が作った脚本に真摯に取り組み、改めて映画の力を感じた気がします。海外のキャストとも映画祭の話をしていたので、まさかまさかで、、この話を聞いたときは時間が止まってしまいました。僕自身この映画を見て心が震えました。この映画に参加できて幸せ者です。海外の方々にもこの映画の素晴らしさが伝わることを願っています。
霧島れいか
この作品に出会い、参加できたことに心から感謝しています。私にとって宝物のような作品です。そしてこの素晴らしい知らせを受け、監督はじめキャスト、スタッフの皆様の顔を思い浮かべながら喜びで胸が熱くなりました。全員の心が真っ直ぐ込められたこの映画をたくさんの方々に観て頂けることが大変嬉しく、こんなに幸せなことはありません。改めて濱口監督おめでとうございます。