ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』まさかの2位デビュー
全米ボックスオフィス考
先週末(6月11日~6月13日)の全米ボックスオフィスランキングが発表され、傑作ブロードウェイミュージカルを映画化した『イン・ザ・ハイツ』が興行収入1,150万4,710ドル(約12億6,552万円)しか上げられず、まさかの2位デビューとなった。(数字は Box Office Mojo調べ、1ドル110円計算)
【動画】約8分のオープニングナンバーフル公開!『イン・ザ・ハイツ』本編映像
『イン・ザ・ハイツ』は、今や「ハミルトン」でおなじみのリン=マヌエル・ミランダが原案・作詞作曲・主演を務めてその才能を世に知らしめたミュージカルの映画化作品。『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウ監督がメガホンを取り、ニューヨークにある移民が多く暮らす地域ワシントン・ハイツを舞台に、ラテン系の若者たちがたくましく生きる姿をサルサ、ヒップホップなどの楽曲に乗せてエネルギッシュに描いた。
批評家からは絶賛の声が上がっており、配給のワーナー・ブラザースもプロモーションに力を入れたとあってオープニング興収は2,000万ドル(約22億円)程度になると予想されていただけに、まさかの結果に。観客からの評価が高いため、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(オープニング興収880万5,843ドル・約9億6,864万円)のようなロングランヒットとなるのではないかという予測もあるが果たして……? 数字が伸び悩んだ理由としては、「イン・ザ・ハイツ」はコアなファンを持つミュージカルではあるが一般層にまでは広がらなかったこと、キャストにビッグネームがいないことなどが挙げられている。観客の40%はラテン系だった。
ちなみに、同作は劇場公開と同時にワーナーの動画配信サービス「HBO Max」でも追加料金なしで配信されたが、そちらに鑑賞者を取られたわけではなく、Deadlineによると「HBO Max」でも視聴者数は伸び悩んだという。
興収1,201万2,263ドル(約13億2,135万円)で1位に返り咲いたのは、公開3週目となる『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』。累計興収は1億935万2,478ドル(約120億円)となり、コロナ禍で興収1億ドル(約110億円)を超えた初の映画となった。ハリウッド版『ピーターラビット』の続編『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』は、興収1,010万1,066ドル(約11億1,112万円)で4位デビューだった。(編集部・市川遥)
6月11日~6月13日の全米ボックスオフィスランキングは以下の通り。()は先週の順位。
1(2)『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
2(初)『イン・ザ・ハイツ』
3(1)『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』
4(初)『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』
5(3)『クルエラ』
6(4)『スピリット・アンテイムド(原題) / Spirit Untamed』
7(初)『ザ・ハウス・ネクスト・ドア:ミート・ザ・ブラックス2(原題) / The House Next Door: Meet the Blacks 2』
8(6)『ラス・オブ・マン(原題) / Wrath of Man』
9(初)『クイーン・ビーズ(原題) / Queen Bees』
10(7)『スパイラル:ソウ オールリセット』