伊藤万理華、コロナ禍で撮影中断し「目の前が真っ暗に」 主演作への熱い思い
元乃木坂46の伊藤万理華が14日、都内で行われた映画『サマーフィルムにのって』特別試写会に来場し、コロナ禍で撮影が中断した本作に対する熱い思いを語った。この日はほかに金子大地、河合優実、祷キララ、小日向星一、池田永吉、篠田諒、甲田まひる、ゆうたろう、板橋駿谷、松本壮史監督が来場した。
本作は、勝新太郎さんを敬愛する時代劇オタクの女子高生ハダシが、未来からやってきた青年・凛太郎に出会い、彼が出演する時代劇をつくろうと奔走するSF青春ドラマ。昨年の第33回東京国際映画祭で上映されて話題を集め、その後世界各国の映画祭での上映が続々と決定している。
映画作りにまい進するハダシを演じた伊藤は、「このキャラクターたちが、映画作りという同じ目標に向かって励んでいくという意味では、リアルでもわたしたちがまず仲良くなることが一番大事だなと思って。自分が役づくりしたとかそういうことではなく、とにかくみんなと喋って、同じ思いかどうかを確かめることを一番重視しました」とまるで合宿のようだったという撮影を振り返った。
金子が「伊藤さんが言っていた通りで、明るく、中心になって話しかけたりする姿を見て、本当にハダシがそこにいるなというか。なんだかそれがすてきだなと思ったんで、なんとしてもハダシのために頑張ろうという思いはみんなあったと思います」と語る通り、共演者たちからは、伊藤がこの映画にかける思いはひときわ大きかったという証言が次々と寄せられた。
そんな中、伊藤は「こんなに褒められるとは思っていなかったからありがたいです。でもわたしは自分が引っ張ったとは思っていなくて。みんなが押し上げてくれた。行ってこいと言ってくれたような、隣で一緒に走りながらも背中を支えてくれた感じがすごくしたので、皆さんがいなかったら成立していないと思っています」としみじみ付け加えていた。
本作はコロナ禍で一時撮影中断を余儀なくされ、数か月後に撮影再開になったという。その時のことを振り返った伊藤は「撮影が中断となったタイミングが、みんなが一番仲良くなったピークだったから。ここでやっとみんながひとつになって、絶対にこの作品はいいものになるんだと思った時に中断と言われてしまって。結構目の前が真っ暗になってしまいました。それが映画の中の“とある状況”と重なるところがあって。こんなにもリアルに重なるのかと、考えることが多かったですね」と思うところが多かった様子。
それだけに本作への思いもひときわ強いようで、「この作品は学生の女の子がやったこともない映画作りに挑戦する話ではあるんですけど、共通しているのは、やはり好きという気持ちだとか情熱だと思っています」と切り出した伊藤。「それって映画作りだけじゃなくて物作り、何かに専念することにつながる、初期衝動だと思っていて。この作品を観たことによって、その気持ちを思い出したり、まだ何か一歩踏み出せてない人たちの励みになったりしたらうれしいです。何年か後にこの映画を観てくださった方にとっての励みになるような、未来につながる作品になっていると思うので、ぜひ最後まで楽しんでください」と観客に呼びかけていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『サマーフィルムにのって』は8月6日より全国公開