庵野秀明がエヴァ後の展望を明かす「実写作品の映画を何本か」
7月23日にオンライン上で開催された「コミコン・アット・ホーム(Comic-Con@Home)」のパネルセッションに、アニメーション映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で原作・脚本・総監督を務めた庵野秀明が登壇。世界のエヴァファンに向けて作品への思いや今後の展望などを語った。
“ラスト”舞台あいさつで思い出を語る『シン・エヴァンゲリオン劇場版』舞台あいさつ【動画】
3月8日より劇場公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、1990年代に社会現象を起こしたアニメシリーズを2007年から『新劇場版』シリーズとして再始動した4部作の最終作。汎用型ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンに搭乗したパイロットたちが、謎の敵「使徒」と戦う姿が描かれる。7月21日に終映を迎え、8月13日より、Amazon Prime Videoにて、プライム会員向けに独占配信がスタートする。
司会者とのパネルセッションの中で庵野総監督は「本当は8年で完結させようと思っていましたが、16年かかってしまいました。すべてが終わった今、ホッとしています」とラストを迎えた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを振り返る。
1995年にテレビシリーズとして誕生し、不朽の名作として愛されている本作について「作品自体のストーリーやドラマ、技術的なクオリティーは、スタッフとキャストの努力のお陰で、常になるべく高い位置にあるように頑張って維持しています。それとは別に、『エヴァンゲリオン』には世界の人に共通する何かがあったのだと思います。それは自分自身の物語として捉えられるような仕組みになっていたからなのかもしれません。一概には決められませんが、世界中の人がそれぞれ自分にとってこれだと思うものが、届いた結果なのかなと思っています」と見解を述べた。
また、過去に2度の終わりを迎えたシリーズで、今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のラストに関しては「おおむね最初から決めていました。漠然とあった終わり方が、少しずつ形を変えて今回の終わりに行きつきました。ディティールは変化しましたが、根本的には変わっていません」と明かす。さらに、今後の展望を「今年61歳になったので、エヴァではなく実写作品の映画を何本か作りたいと思っています。アニメーションは、今後実写作品を数本作ってから、またやれるチャンスがあればと思っています。まだ何も決まっていませんが。実写作品とアニメーション作品の制作の仕方はまったく違います。アニメーションでは出来ないことを実写で色々と描けるので、本当に楽しみにしています」と笑顔で語る
最後に、庵野総監督は「『エヴァンゲリオン』に限らず、僕の描く作品は基本的には日本で暮らす人たちに向けたドメスティックな内容です。そのような作品が世界の人に愛されているのは本当にありがたく、光栄です。みなさん『エヴァンゲリオン』を本当にありがとうございます、そしてよろしくお願いいたします」と世界中のファンに感謝の意を示し、パネルセッションを締めくくった。
なお、Amazon Prime Video では8月13日から配信される『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のほかに、シリーズ過去作の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』も配信中となっている。(編集部・大内啓輔)