西野七瀬、演技は「難しさが楽しさ」新境地に挑んだ『孤狼の血』続編で得たもの
乃木坂46の元メンバーで、映画やドラマと話題作への出演が続く西野七瀬。8月20日公開の映画『孤狼の血 LEVEL2』では、スナックの強気なママ・近田真緒を演じる西野が、演技の難しさと楽しさについて語った。
柚月裕子による同名小説をもとにした『孤狼の血』(2018)の続編となる本作は、監督を白石和彌、脚本の池上純哉が続投し、原作では描かれていないオリジナルストーリーが展開。前作から3年後、権力を用い、暴力組織を取り仕切っていた刑事・日岡(松坂桃李)に、出所したばかりの暴力団員・上林(鈴木亮平)の脅威が迫る。日岡のスパイとして上林に近づくチンピラ・近田幸太(通称・チンタ/村上虹郎)の姉・真緒役を西野が担う。
出演のオファーを受けた西野は、「なにかの間違いなんじゃないかと、とてもびっくりしました」と驚きつつも、「白石監督といつかお仕事でご一緒できたらいいなと思っていたので、とても嬉しかったです」と喜んだ。
監督からの要望で、スナックのママ役のために髪をブリーチした西野は、「こういう機会でもないと、ここまで明るい色にしないので(自分のビジュアルは)すごく新鮮でした。ヘアスタイルも当時(1990年代前半)のものなので、見たことがないな、という感じが面白かったです」と自身にとっても新たな挑戦だったと振り返る。
誰が相手でも物怖じしない真緒を演じるにあたり、「監督と、真緒は強い人であるという話をしました。感情がコロコロ変わるというより、割と誰に対してもフラットな人」であることを意識していたが、「後半、普段は感情を見せないようにしている真緒が取り乱す場面があります。それまでとの演技の差をつけたかったので、そこはやっぱり……大変でした」と苦労したというエピソードも。
また、店にやってきた暴力団の組員に、毅然とした態度で真緒が接するシーンでは、「実際は、とても怖かったです(笑)」といかついビジュアルの共演者たちに内心おびえることもあった。それでも、「ママとしてかっこよく彼らを制する。普段の自分だったら全然そんなことはできないのですが、真緒はゆるがない。強い一面を感じてもらえたら」と語る。
本作でさまざまな経験を重ねた西野は、完成した作品を観て、「想像の何倍もすごくて、とてもテンションが上がりました! ずーっと集中してあっという間に終わったという感覚でした。多くの方に楽しんでもらえる作品」と自信をのぞかせるも、「自分の演技では、反省会を開いていました。客観視とかではなくて、ちゃんとできているかな? という目線で観てしまうんです。いまだったらどうできるかな? という感じで」と意外な一面を明かす。
演技の難しさに直面することも多いと語る西野だが、「難しさが楽しさ」と演技の醍醐味を感じている様子。「簡単にできたら全然楽しくないと思うんです。簡単にできないからこそ、撮影が終わった後も難しかったなと考えている自分がいる。自分がそれほど関心を寄せて取り組んでいることなんだ、と気が付くんです。撮影が終わってからも、もう言わないセリフをずっと頭の中で繰り返しちゃって……。毎回反省して、それをもってまた次の作品に臨んで、の繰り返しを楽しめています」と前向きだ。
演技への熱い思いを語る西野は、今後について「こういう役をやりたい! というのではなく、いただいた役が、これまでやったことがない役だとワクワクしますし、同じような役柄だったら、前よりももっと伸び伸びと演じられるように頑張ろう、となります。継続的に作品に出演させていただけるというのは、すごくありがたくてうれしいことです」と答える。
さらに、「撮影以外でも『姉ちゃん』と呼んでくれた弟役の(村上)虹郎くんにどこか情が湧いていたので、完成した作品を観て、チンタのシーンが一番グッときました。自分がグッときたように、自分のシーンで誰かに思ってもらえるようになりたい」と穏やかな口調ながら、胸に熱いものを秘める西野が目を輝かせていた。(編集部・梅山富美子)