小松菜奈、有観客イベントに感慨「この景色久しぶりです」
女優の小松菜奈が10日、都内で行われた映画『ムーンライト・シャドウ』初日舞台あいさつに出席。本作は小松にとって初の長編映画単独主演作となるが、そんな晴れの日に会場に足を運んでくれた観客に小松は何度も感謝の気持ちを示していた。イベントには宮沢氷魚、臼田あさ美も参加した。
本作は、吉本ばななのベストセラー「キッチン」に収録された短編小説を映画化したラブストーリー。最愛の恋人を亡くした女性・さつき(小松)が、満月の夜の終わりに起こる“月影現象”に導かれていく姿を描く。
前回の完成報告会見は無観客で行われたこともあり、鑑賞後の観客がいる劇場の舞台に登壇した小松は「この景色、久しぶりです」と感慨深い表情を見せると、「こうした状況下、この場にいらっしゃることも、とても難しい判断だったと思います。そんななか、わたしたちの大切な初日に来ていただいてありがとうございます」と深々と頭を下げる。
小松にとって、長編映画で単独主演を務めるのは初。「昨日はそわそわして眠れませんでした」と胸の内を明かすと「でも映画を観てくださった方の目を見ると、(作品が公開したんだと)実感できます。本当に劇場にお越しくださってありがたいです」と再度感謝を述べる。
続けて小松は「この映画もそうですが、これから公開される作品も、コロナで大変ななか、現場で試行錯誤しながらみんなで魂を込めて作った映画ばかりです。観たいと思ってくださる方々が励みになっています。一つ一つ丁寧に届けていきたいと思います」と熱い胸の内を吐露した。
そんな小松に、臼田が「現場ではすごく共演者に気をつかってくれていました。わたしは菜奈ちゃんよりずいぶん年上ですが、とても頼りになるなと感じていました」と座長ぶりを称賛すると、小松は「嬉しいですが、あさ美さんがいてくれてとても心強かったです。困ったときにものすごく頼っていました」と感謝していた。
満月の夜の終わりに死者と会えるという“月影現象”にちなみ、「いまひとつだけ願いが叶うなら」というお題でトークが展開されると、小松は「わたしが演じたさつきは猫を飼っている役だったのですが、とにかく癒されて……。猫を飼いたいという誘惑が……」と回答。それでも、生き物なのでそう簡単には飼うことはできない……と葛藤する日々が続いていると明かすと、「現場で猫ちゃんたちが夢中だったのが、“CIAOちゅ~る”だったので、いまは“CIAOちゅ~る”になりたいかも」と珍発言で会場を笑わせていた。
最後に小松は「お越しいただき感謝しています」と深々と頭を下げると「今日、わたしの母が映画を観てくれて『難しかった』と感想がきていました。確かに分かりやすい作品ではないですが、わたしはさつきが喪失感で食事がとれなくなる気持ちには共感できました。失ったものは取り戻せない。だからこそ、後悔することなく、毎日を過ごしていきたいと思います」と作品に込めたメッセージを語った。(磯部正和)
映画『ムーンライト・シャドウ』は公開中