「ドラゴン桜」でも注目!吉田美月喜、新鋭監督・枝優花の短編で主演に「新しいお芝居のやり方を発見できました」
俳優の山田孝之、阿部進之介らが手掛けるプロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season1』の一篇『Petto』で主演を務める女優の吉田美月喜。今年4月期に放送された日曜劇場「ドラゴン桜」でも、強い個性を発揮した吉田だが、同時期に撮影されていた本作では、新たな芝居に対するアプローチ方法も発見できたという。
難解だった春乃役、枝監督の一言で開けた視界
『Petto』で吉田が演じたのは、親の希望通り国立大学を目指しているが、本当はトリマーになりたいという夢を持つ高校2年生の春乃。監督を務めるのは、『少女邂逅』などを手掛け、新鋭女流監督として注目を浴びる枝優花だ。
吉田は「脚本を読ませていただいたとき、春乃をどうつかんだらいいかわからなかったんです」と率直な胸の内を明かす。実際、一筋縄ではいかない奇想天外なストーリーが展開する。
脚本を読んでも、春乃像がつかめないなか、枝監督は「いろいろ不思議なことが起こるけれど、これがなにを伝えたいのかということは深く考えなくていい。目の前で起きたことを素直に受け取ってくれればいいから」と吉田にアドバイスを送った。
この言葉で、吉田のなかにあった迷いは消えた。「枝監督がすごく現場で話しやすい雰囲気をつくってくださり、アドバイスいただいたこともスッと心のなかに入ってきました。肩の力を抜いて春乃を演じることができました」と撮影を振り返ると、役を作り込まず、その場で起きたことに対応していく芝居のやり方に大きな発見があったそうだ。
実は『Petto』と、吉田が出演していた「ドラゴン桜」の撮影は時期が被っていた。吉田は「ドラゴン桜」で、平手友梨奈ふんする岩崎楓のバドミントン部のダブルスパートナー清野利恵役を演じたが「清野は、結構しっかりと役をつくり込んで臨んだのですが、『Petto』の春乃は、その場で感じたことを受け入れて、素直に表現することを心掛けたんです。これまでとは違うアプローチ方法を経験できたのは、すごく良い勉強になりました」と回顧する。
「わたしも人になにかを与えられる女優になりたい」
確信を持ってキャラクターをつかむことができないなか、春乃を演じた吉田。そんななかでも、劇中、横田真悠演じるめっちゃんが「わたし、自分の人生責任を持って一生懸命生きてるもん」と発した言葉で、ぼんやりとしていた作品の輪郭がくっきりと見えてきた。
吉田は「『自分の人生責任持って生きる』ってなかなか言えないし、そんな言葉を、説得力を持たせてお芝居できるってすごいなと思うんです」と横田に羨望の眼差しを向けると「最近、すごく周囲の人に助けられて演技をしているなと感じるんです」と切り出す。
続けて吉田は「ドラゴン桜」で共演した平手演じる楓が、清野に「あなたがいままで最高のパートナーだったよ」と声を掛けるシーンを振り返り「あの場面で清野は涙を流すのですが、実はあの楓のセリフは、台本とちょっと違うセリフも混ざっていて、平手さんが敢えてわたしの感情を出せるように、演じてくれたんです。あのときの清野の涙は、演技というよりもリアルに近かったんです」と裏話を披露してくれた。
「わたしも人になにかを与えられる女優になりたい」と真摯な眼差しで語った吉田。今年3月には高校を卒業したが「もう『高校生です』って甘えられないというプレッシャーは出てきました」と苦笑いを浮かべると「年齢が上がって、オーディションを受けられる役も増えてくると思うので、そのときにしかできない役をしっかり逃さないように、と意識は強くなってきました」とより女優業への思いは強くなっている。
「やりたいことがあるのに、どうしていいかわからない」と悩む春乃を好演した吉田。「わたしにとってのやりたいことはお芝居なのですが、オーディションに受からないこともあり、出演できても自分が思い描いていたこととのズレがあるなど、悩みはあります」と打ち明けるも、「めっちゃんのセリフのように、自信を持って『自分の人生を責任持って生きてる』と言えるように頑張っていきたいです」と抱負を語っていた。(取材・文・撮影:磯部正和)
短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season1』は9月17日公開