『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はすごくエモーショナル Q役ベン・ウィショーが語る
映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドを支えるQ役を務めてきたベン・ウィショーがインタビューに応じ、ようやく公開を迎えたダニエル・クレイグのボンド引退作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』について語った。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』はベンがQを演じるようになって3作目の『007』映画だが、本作の撮影前に前2作を見直したりはしなかったのだという。「自分を観るのが好きじゃないからです(笑)。それに、そうするのは奇妙にも感じられました。今やこのキャラクターの中にいることが快適になっていたから、僕はこのチャプターがどうなるかということにもっと集中しました。僕たちは、ダニエル・クレイグのボンドとしての時間をどのようにして締めくくるのか。それは気が滅入るような問いですけどね」
Qはただ彼の中にいて、必要な時に出て来るのだろうか?「そうとも言えるかも。1度以上役に戻る時には、もっと打ち解けて快適になるんです。古い友人のもとに戻るみたいな。それは本当にいい気持ちです。それに僕のQとして最初の映画『007 スカイフォール』を作った時、もう10年前になるけれど、この役を引き受けてシリーズに加わることにどれだけナーバスになったかというのを今も覚えているんです。だけど今作に参加することにナーバスになることは全くなかったし、楽しさと喜びを感じました」とほほ笑む。
本作におけるボンドとQの関係については「程度の差こそあれ、いつもの通り、前2作で僕とダニエルが演じた感じです」とのこと。「いくつかの点では違うんですけど、あまり言い過ぎたくはないんです。みんなを驚かせたいから。みんな、この映画がどれだけエモーショナルかということに驚かされると思います。それはボンド映画の中でもすごく新しい点だと思います」
現在40歳のベンと53歳のダニエルが初めて共演したのは、戦争ドラマ『ザ・トレンチ 塹壕』(1999)でのことだ。当時のベンは17歳で、ダニエルとのコラボレーションはこれで6度目。ベンは、共演を重ねて互いのことをよく知るようになり、二人の間には「本物の尊敬と信頼」があると語る。「撮影現場では、彼の(007として)最後の映画だということを意識しないわけにはいきませんでした。だけど悲しい感じではなく、ある意味、皆のやる気を引き出していました。なぜなら皆ができるだけいい映画にしたい、価値のある終わりにしたいと思っていましたから。だけど、実際に映画を観たら悲しくなると思います。これが彼の最後の作品なんだと知って、ね」
新型コロナウイルスの影響を受けて延期を繰り返すも、ついに劇場公開を迎えたことについては「ほっとしています」と笑顔を見せたベン。「この映画は誰にも観られないんじゃないかと思ったこともありました。もしくは、配信になってしまうかもとか。僕は、それはひどく残念なことだと思います。だからすごくほっとしていて、興奮しています。なぜならこれは超大作で、この映画を作るためにものすごい数の人々が関わりました。だから本当に公開されることになったのは、全員にとってうれしいことです。人々が映画館に戻って、再び映画を映画館で観るようになってくれたらと願っています」と呼び掛けていた。(編集部・市川遥)
映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は公開中