ダニエル・クレイグ『007』全5作で一番お気に入りのシーンを明かす
ダニエル・クレイグ(53)がインタビューに応じ、自身が主演した映画『007』シリーズ全5作での一番のお気に入りのシーンを明かした。
37歳で6代目ジェームズ・ボンドに抜てきされ、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)、『007/慰めの報酬』(2008)、『007 スカイフォール』(2012)、『007 スペクター』(2015)、そして最新作にしてボンド引退作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで5作に主演したダニエル。その中で一番のお気に入りのシーンについて聞かれると「うーむ」としばし悩んだ上で、「多分『カジノ・ロワイヤル』でのシーンだと思う。ヴェスパーとのシャワーシーンか、もしくはクレーンのシーン──僕がジャンプするやつ。そのどちらかかな(笑)」と回答した。
ヴェスパーはエヴァ・グリーンが演じた『カジノ・ロワイヤル』でのボンドガールで、ボンドが本気で愛した女性としてシリーズの核となっている存在。ダニエルが挙げたシャワーシーンは廊下でのファイトシーンのすぐ後に来るもので、脚本ではエヴァは下着姿、ダニエルは服を着たまま、となっていたが、ダニエルが「違う。2人とも服を着たままだ」と反論して今の形になったという背景がある。ダニエルは「僕は暴力を扱うなら、たとえジェームズ・ボンド映画であっても現実味が必要だと考えた。ああいう状況が人にどう影響するか考えて、彼女は放心状態だから服を着たままが自然だと思ったんだ」とドキュメンタリー「ジェームズ・ボンドとして」の中で語っている。
もう一方のクレーンシーンは、リアリティーを重視したダニエル版ボンドの方向性を決定付けたアクションシーンだ。静と動のこの二つのシーンは、ボンドの複雑な内面を掘り下げつつ、生身のアクションに挑んできたダニエルらしいチョイスといえそうだ。
なお、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で撮影するのが特に難しかったシーンについては「全てだ」と笑ったダニエル。「フィジカルなシーンはいつだって難しい。時間をかけ、安全にやらなくてはいけない。ロケーションでの撮影は大抵難しいものになるね。技術的なことがうまく行かなかったり……。だけど僕はもう30年この仕事をしているから、よくない考えはどこかへやって、音楽を聴いて、なるべく心穏やかにいるようにしているよ」と年を重ねた現在の向き合い方を明かしていた。そんなダニエル版ボンドの集大成となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は現在公開中だ。(編集部・市川遥)