『モスラ』幻の序曲発見 4Kデジタルリマスター版上映で60年ぶり復活
東宝特撮『モスラ』(1961)の公開当時、限られた劇場でのみ本編前に付けられていた「序曲」が発見され、12月10日から「午前十時の映画祭11」で上映される4Kデジタルリマスター版に編成されることが明らかになった。
東宝によると、1分6秒にわたる序曲は当時、ステレオ版の上映劇場であった11劇場で本編の前に流れていたもの。4チャンネル多元磁気立体音響版=ステレオ版で採用されていたもので、今回の4K化作業が、そのステレオ版をデジタルリマスターしたものとなることから、公開当時の製作者達の意図を尊重する意味を込めて編成された。
サウンドトラック以外への収録はなく、公開以後は映画館での上映もなかったといい、まさにファン待望の復活。この発見と吉報に、映画監督の樋口真嗣は「あの時代の大作には必ずついていた『序曲』!『アラビアのロレンス』『マイ・フェア・レディ』『ベン・ハー』『サウンド・オブ・ミュージック』。これから始まる映画の期待を高めるのに欠かせなかった儀式。公開当時にしか付いていなかったのだから私は一度も見たことのないロストフッテージが六十余年ぶりの復活です!」とコメントを寄せている。
『モスラ』は、構想3年、撮影日数200日間、総製作費2億円(当時)を投じて製作された空想科学超スペクタクル巨編。南海の孤島インファント島で発見された2人の小美人(ザ・ピーナッツ)が、悪徳ブローカーに拉致され日本で見世物にされたことで、島の守護神モスラが海を渡り日本に上陸。都内を破壊し尽くすモスラと、小美人を救おうとする新聞記者の福田(フランキー堺)、カメラマンの花村(香川京子)、言語学者の中條(小泉博)らの奮闘を描く。「序曲」編成にあたっての樋口真嗣監督のコメントは以下の通り。(編集部・入倉功一)
樋口真嗣(映画監督)
奇跡は昔のことでしょうか。神秘は言葉だけのものでしょうか。
イイエ、奇跡はいまでもあります。神秘も夢ではありません。現代の奇跡、現代の神秘。
東京は調布の東京現像所で発見しました驚くべきバージョンを紹介しましょう!
1961年の公開当時、本編巻頭に付けられていた大作映画のシンボル、序曲~Overture~!
あの時代の大作には必ずついていた「序曲」!
『アラビアのロレンス』『マイ・フェア・レディ』『ベン・ハー』『サウンド・オブ・ミュージック』
これから始まる映画の期待を高めるのに欠かせなかった儀式。公開当時にしか付いていなかったのだから私は一度も見たことのないロストフッテージが六十余年ぶりの復活です!
破格の予算がかけられ、米国コロンビア映画で配給も決まっていた超大作としてどのくらい期待されていたのか、が古関裕而さんの名曲と共に体験できます。現代の奇跡をお楽しみに!