小島秀夫監督、エドガー・ライトの新作絶賛「嫉妬しました」
29日、『ベイビー・ドライバー』『ショーン・オブ・ザ・デッド』などで知られるエドガー・ライト監督が、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画新作『ラストナイト・イン・ソーホー』の特別試写会にリモートで参加し、日本側ゲストのゲームクリエイター・小島秀夫監督やタレントの長濱ねる、そして会場の観客と質疑応答を行った。
ライト監督・小島秀夫・長濱ねる『ラストナイト・イン・ソーホー』を語る【トークノーカット】
本作は、ロンドン・ソーホーで別の時間を生きる2人の女性の人生がシンクロしていくさまを追ったサイコスリラー。寮生活に馴染(なじ)めずにアパートで暮らし始めた、デザイン専門学校に通う女性エロイーズ(トーマシン・マッケンジー)が、一人暮らしをはじめたアパートで、1960年代のソーホーで歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)の夢を見るようになり、肉体的にも感覚的にも彼女と次第にシンクロしていくさまを描き出す。
小島監督とライト監督は、Twitterをフォローし合い、『ベイビー・ドライバー』でライト監督が来日した際に対面。ライト監督が小島監督の手掛けたゲーム「DEATH STRANDING(デス・ストランディング)」に出演するなど親交があり、2年ほど前にソーホーのホテルで会っていたという。
その時点で映画のラッシュを観ていた小島監督は、「これがすごく良くて。あの頃から観たかったものが、ようやく観られたというのがありますね」と述懐。完成した映画について、「本人を前にして言うのは恥ずかしいけど」と前置きしつつ、「ふた皮くらいむけたというか。今までとは違う、もっと飛び抜けた作品になっていて嫉妬しました。ホラーテイストですが、最終的には女性の夢を応援する素敵な映画になっています。照明も撮影もすごいので、ビックリしました。これは傑作です!」と興奮気味にコメント。その言葉にライト監督は、満面の笑みで「ありがとうございます」と礼を述べた。
一方、映画のモチーフに合せた60年代風ファッションに身を包んだ長濱も本作を絶賛。「監督の作品はいつも拝見していて、音楽がすごく印象的だと思っています。今回の映画では、(劇中で使用されている)ウォーカー・ブラザーズの曲が好きで、そこでもうれしくなりました」と笑顔。主人公にも共感する部分があったようで「エロイーズが使っていたビーツのヘッドホンが一緒だったり、わたしも中学生のころ、ロンドンのファッション学校に行きたいなと思って調べたことがあったので、リンクするところがあってうれしかったです」と語っていた。
さらに、映画を鑑賞した観客からは「鏡が印象的に使われている演出の意図」「60年代風を意識した色彩設計」といった、ディテールに関する質問が飛びだし、ライト監督は惜しみなく回答。大盛り上がりのうちにイベントはフィナーレを迎え、「この作品は自分にとって誇らしく思える作品であると同時に、パーソナルな作品でもあるんです」と切り出したライト監督は「映画を作った時というのは、世界の皆さんに観ていただけるのかどうかわからないので、それが当たり前だと思わないようにしています。ですから、(日本の)皆さんに観ていただけるのはものすごくスリリングなことだし、本当なら東京にも行きたかったんですが、それはまた近いうちにと思っています。もし気に入ってくれたら、また観てもらえたらうれしいです」と会場の観客に感謝のメッセージを寄せていた。(取材・文:壬生智裕)
映画『ラストナイト・イン・ソーホー』は12月10日より全国公開