モーガン茉愛羅に観客から結婚祝福 憧れの園子温作品出演に「ヨシッ」
10月20日に俳優の松田龍平との結婚を発表したモデル、モーガン茉愛羅が6日、スペースFS汐留で行われた映画『エッシャー通りの赤いポスト』(12月25日公開)のジャパンプレミアイベントに来場。会場の観客から「結婚おめでとうございます!」という祝福の声が寄せられると、満面の笑みを見せた。
『愛のむきだし』や『ヒミズ』の園子温監督が脚本・編集・音楽を兼任した本作は、プロからアマチュアまで集った新作映画のオーディションの内幕が、赤いポストを起点に展開する群像劇。イベントでは共演者の藤丸千、黒河内りく、山岡竜弘、小西貴大、園子温監督も登壇し、本作に出演もしている上地由真がMCを担当した。
モーガンはカリスマ映画監督・小林正(山岡)を支える恋人・方子を演じており、念願だった園監督の作品に出演できた喜びを「電車に乗っている時に配役が決まったと連絡を受けた時は興奮して、そのまま電車を降りてしまいました。なのでそこでヨシッとやりました」と語る。撮影については「わたしは監督の恋人の役だったんですけど、撮影中は(恋人の役づくりのために)山岡さんが出ているシーンを見たり、園さんの隣でモニターを見たりしていたなというのが思い出になっています」と述懐。山岡も「茉愛羅ちゃんがこういうつもりで役づくりをしているということをノートに書いていたので、それを共有して。二人で話し合いながらやったので、とても演じやすかった」とモーガンに感謝していた。
本作は園監督がワークショップを通じて無名の俳優たちを中心に撮り上げた作品となるが、園監督は製作の経緯について「2年前に心筋梗塞で倒れて。もう一回戻ってきて復活したときにワークショップで授業をやってみないかという話があって。いつもならやらなかったかもしれませんが、心筋梗塞から復活してから初心に戻り、ピュアな気持ちでやりたい時だったので、そういう思いで作りました」と説明。「ワークショップは3日しかなかったんですが、ただ授業をやるだけでは面白くない。だったら3日後に映画を撮って、それを成果にしよう」と考えたという。
だが当初は大きな映画にするつもりはなかったと言い、「最初はたたき台となるシナリオを書いて。それを元に授業をしたんですが、参加者たちの熱を浴びていくうちに、大きな映画を作ろうかなと思うようになった。ワークショップの会社に掛け合って、大きな映画にしたいとは言ったんですが、それがまさか映画館にかけられるような映画になるとは。この作品をいいと言ってくださる方が多いのは、その無心さ、ピュアさがあったからかなと思っています」と劇場公開に至ったことに感激を表した。
本作の撮影において、園監督は「最近ではめったにない緊張感で撮りました」と振り返る。「やはりこの中から金の卵を見つけて、巣立っていく人を見つけたいという気持ちがあったので。そのためにワークショップに来た人とは真剣勝負でした。『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』の頃にはその緊張感をもって撮っていたんですが、最近は年もとったのかそういうこともなくなって。でもこの作品は原点に戻って。たった数日間しか一緒にいられないからこそ、いろいろと学んでほしくて、厳しくなったということです」という園監督。
「『愛のむきだし』だってワークショップ映画でしたから。あの時は安藤サクラがいて。小さな役だから入れちゃおうということになりました。だからここに並んでいる人たちの中から、あと数年したら世に出てくるかもしれないんで、僕は期待しています」とコメント。「僕の中で『愛のむきだし』や『冷たい熱帯魚』よりも面白い、最高の映画ができたと思っているので、わたしの自信作です。めったにこんなピュアな映画はできないと思うので、最後までご覧ください」とメッセージを送った。(取材・文:壬生智裕)