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高橋一生の岸辺露伴は「セクシー」 演出・渡辺一貴を魅了

12月29日放送の「六壁坂」より高橋一生演じる岸辺露伴
12月29日放送の「六壁坂」より高橋一生演じる岸辺露伴 - (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 (C)NHK・PICS

 12月27日より3夜にわたって放送中の高橋一生主演のNHKドラマ「岸辺露伴は動かない」第2弾(NHK総合、毎午後10:00~10:49放送)で、第1弾から演出を続投する渡辺一貴が、高橋が演じる露伴の魅力を語った。

【写真】「岸辺露伴は動かない」第2弾奇妙な場面写真

 実写ドラマ「岸辺露伴は動かない」は、荒木飛呂彦の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズに登場する天才漫画家・岸辺露伴を主人公にしたスピンオフ漫画「岸辺露伴は動かない」のエピソードを中心にしたストーリー。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた漫画家の岸辺露伴(高橋)が、担当編集者・泉京香(飯豊まりえ)を相棒に、奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かう。

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 もともと原作漫画「岸辺露伴は動かない」の大ファンだったという渡辺だが、最も惹かれたのはどんなところだったのか。「この漫画が、『ジョジョの奇妙な冒険』の世界よりも、横溝正史、江戸川乱歩、昭和初期のミステリーの匂いがすると言いますか。露伴が、怪奇現象、伝承とか日本古来のさまざまな未知なるものに興味を持っているところがあって、まずそこが面白い。さらに、露伴の“ヘブンズ・ドアー”という能力。人の一番大切な、覗いてはいけない秘密を本にして手で読んでいく、人の根源に肉体で迫っていくという行為には誰しも快感を覚えるのではないかと。非常にエロチックでもあり、そこがこの能力の最大の魅力だと思いました。今だったら本ではなく、USBから記憶を吸い取るみたいな感じになるかもしれないですよね(笑)」

27日放送の4話「ザ・ラン」より。駆け出しのモデル・橋本陽馬(笠松将)が露伴にある勝負を持ち掛ける…

 その露伴を演じる高橋本人も漫画「岸辺露伴は動かない」の大ファンだったことから、実写ドラマ化はトントン拍子に進んでいったという。「一生さんとは4年前の大河ドラマ『おんな城主 直虎』(2017)で、がっつり組ませていただいたんですけど、それが終わったあとで僕がジョジョや岸辺露伴を読んでいたときに『あれ、これ一生さんだ!』と思って。前々から映像化したいという野望だけはあったんですけど、それが具体化するとは全く思っていなくて。でも、もしかしたら一生さんにやっていただけるのであればいけるんじゃないかと。もはや露伴が一生さんそのものに見えてきて、そこからプロジェクトが始まったといいますか。そうしたら実は一生さんも岸辺露伴が大好きだったということで、これはもうやるしかないという感じで」

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 ドラマ第1弾で、高橋演じる露伴は大きな反響を呼んだ。本作では衣装合わせを通常よりも多く行い、ヘアメイクや衣装、露伴の独特なセリフ回しも違和感なく再現し、原作ファンを喜ばせた。実際、高橋とはどのように露伴を作っていったのか。

 「一生さんも岸辺露伴を好きだったということもあるので、撮影現場で『このシーンはこうなのでこうしましょう』といった細かい話をすることはなかったですね。一生さんとしていたのは、動きのキャッチボールというか。そのシーンがエモーショナルになるために、露伴がどこで立つところから始まってどう動いて最後はどうなるという道筋をこちらで提示できれば、あとは一生さんがそこに沿って膨らませていくというかたちになります。一生さんはこういう世界が大好きなので、昔の明治、大正の怪奇現象を追いかけた新聞記事の切り抜きを印刷した本などを持っているんですよ。本当にマニア中のマニアのような感じで、それを貸していただいて読んだりもしていました。現場では、ホラー映画を観た感想とか雑談ばかりでしたが、それもドラマ作りに生きているように思います(笑)」

 ちなみに、前作では高橋が「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズで露伴が見せる“ジョジョ立ち”という独特なポーズをさりげなく芝居に組み込んだことも話題を呼んだ。このポーズも、やはり高橋本人によるものだったという。

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 「例えば、こういうポーズをとりたいというのを目標にお芝居を考えていくと、それは人間の動きではなくなってしまう。なので、僕がきちんと人間の動きとしてしっかり感情を表現できるよう芝居を組んで、その流れの中で一生さんがこの表情、このポーズをやったら面白くなるとか、無理なく膨らませていくというやり取りだったと思うんですよね」

 そんな高橋が演じた露伴を一言で「セクシー」だと表現する渡辺。「一生さんは手の動きや、ちょっとした体の動かし方も綺麗ですし、それがそのためにやっているんじゃなくて、お芝居の流れの中でやられている。『一生さんが露伴にしか見えなくなった』という視聴者もいらっしゃいますが、そういったディテール、ニュアンスの積み重ねに、皆がいつの間にか惹きつけられているんじゃないかという気がします」

28日放送の5話「背中の正面」より。相棒の担当編集者・泉京香を演じる飯豊まりえとのコンビネーションも抜群

 なお、ドラマでは露伴と、担当編集者の泉の“バディもの”になっているのが大きな特徴、見どころでもある。泉は神経質で偏執的な露伴とは対照的に、ノーテンキで天然、うざったくもある愛すべきキャラクターだ。泉は原作「岸辺露伴は動かない」では、「富豪村」のみにしか登場しないが、ドラマでは2弾でも泉が露伴の相棒として全エピソードに登場する。

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 「前作で脚本の小林(靖子)さんから露伴と泉のバディものにしたら面白いんじゃないかと提案をしていただいて、それでいきましょうと。もともと原作者の荒木先生の描かれるお話は、圧倒的な恐怖の中にユーモアを差し込んでくるバランスが素晴らしいと思っていて。そのエッセンスは残したいと思っていたんですけど、そのユーモアの部分を(泉役の)飯豊まりえさんが担ってくださった。サスペンスフルな場面が続く中での息抜きになる一方で、実は大事なことを言っていたりもする。段々と二人の掛け合いが熟成されていっているように思います。今回はさらにバディ感が増しているというか、会話のテンポもすごくいいですし、息が合っている印象で。テンポが良くて、なおかつ耳にも心地いい時間が流れているという感じで、いい雰囲気だと思います」

 今や名コンビとして周知された高橋&飯豊の絶妙な掛け合いにも期待したい。(編集部・石井百合子)

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