クルド人少女の葛藤描く『マイスモールランド』ベルリン国際映画祭へ 嵐莉菜&奥平大兼が喜び
在日クルド人少女の葛藤と成長を描く映画『マイスモールランド』(2022年5月公開)が、第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式招待されることが明らかになった。キャストの嵐莉菜と奥平大兼、川和田恵真監督の喜びのコメントも寄せられた。
『MOTHER マザー』でスクリーンデビュー!注目の俳優・奥平大兼【写真】
『マイスモールランド』は、幼いころから日本でごく普通の高校生活を送っていた17歳の在日クルド人・サーリャが、あるきっかけで在留資格を失い、自身のアイデンティティーに葛藤しながらも成長する姿を描く物語。是枝裕和が率いる映像制作者集団・分福の川和田恵真が監督・脚本を手掛け、映画初出演となるモデルの嵐莉菜が主人公のサーリャ役を務める。演技未経験ながらキャストに抜てきされた『MOTHER マザー』で、多数の新人俳優賞を受賞した奥平大兼がサーリャの相手役となる日本人の少年・聡太を演じている。
世界三大映画祭の一つであるベルリン国際映画祭のジェネレーション部門に正式招待され、この上映がワールドプレミア上映となることが決定した本作。1978年から始まったジェネレーション部門は、子どもや青少年の人生と世界を探究する映画が紹介される部門で、最近ではキム・ボラ監督の『はちどり』(2019)が受賞を果たしたことも記憶に新しい。
川和田監督は是枝監督の『三度目の殺人』で監督助手、西川美和監督の『すばらしき世界』でメイキングを担当した経験を持ち、本作が商業映画デビューとなる。川和田監督は「歴史あるベルリン国際映画祭に『マイスモールランド』をご招待いただいたこと、大変光栄に思います。初監督にもかかわらず作品を信じ参加してくださったキャスト・スタッフの皆さん、そして、不安な状況に置かれながらも温かくご協力をしてくださった在日クルド人の皆さんに、この場を借りてお礼を申し上げます。映画と共に、込めた想いを届けてゆきます」と語る。
また、主演の嵐は「初めて本格的なお芝居に挑戦させていただいたこの作品が、ベルリン国際映画祭で上映されることが決まり、本当に光栄です! 私自身、ドイツにルーツがあるので、とてもご縁を感じ嬉しいです。大好きな国でこの作品がどのように評価されるのかすごく緊張しますが、それと同じくらいとても楽しみです!」、奥平は「自分が携わった作品がこのような素晴らしい舞台に行けることがとても嬉しいですし役者としてすごく刺激になる出来事です。ベルリン国際映画祭をきっかけに『マイスモールランド』が世界中のたくさんの人に見てもらえるようになれば良いなと思います」と喜びを期待の言葉を寄せている。
第72回ベルリン国際映画祭は、現地時間2月10日から2月20日まで開催予定で、ジェネレーション部門からもグランプリ作品が選ばれる可能性がある。難民2世という題材をベースに、世界に開かれた視点で現代日本が抱える社会問題を切り取りながら、誰もが“自分ごと”として受け入れられる普遍的なドラマに注目したい。(編集部・大内啓輔)