実写映画『バイオハザード』監督のゲーム愛と原作キャラへのアプローチ
カプコンの大ヒットゲームを再び実写化した、映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』で監督・脚本を務めたヨハネス・ロバーツが、原作ゲームへの愛と共に、映画に登場する主要キャラクターへのアプローチについて語った。
主要キャストにインタビュー『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』【動画】
サメだらけの海底からの脱出を描くパニックホラー『海底47m』がスマッシュヒットとなったロバーツ監督は、幼少期からのホラー映画ファン。イギリス出身の彼にとって、ゲーム版「バイオハザード」との出会いは、ある種の救いでもあったという。「子供のころはゲームよりもホラー映画に夢中でしたが、『バイオハザード』が発売された1990年代のイギリスでは、ホラーがあまりうまくいっていなかった。僕のヒーローであるジョン・カーペンターのような監督と、観客とのつながりは消え、ホラージャンルにとって非常に奇妙な時期だったんです」
「そこに登場したのが『バイオハザード』でした。このゲームには、ジョージ・A・ロメロをはじめ、僕の好きな要素が全部詰まっていた。完全に魅了されましたね。当時、友人のプレイを後ろから眺めて、夜更かしをしたものです。若いころの僕にとって、『バイオハザード』は映画館のような存在でした」
そんなロバーツ監督だけに、劇中にはファンなら見慣れた小道具やイースターエッグが次々に登場。ゲームそのままのカットも採用されており、「ゲームの映画化は初めてだったけど、とても面白かった。警察署やスペンサー邸を細部まで完璧に再現し、イースターエッグの配置にも徹底してこだわりました」と語る。本作の制作中は「バイオハザード2」のリメイク版「バイオハザード RE:2」を「執拗にプレイしていた」そうだ。
登場人物も名前や基本的な設定はゲームと共通しているが、ビジュアル面など、一部には映画独自のアプローチが用いられている。「ゲームを平面的に再現したキャラクターにはしたくなかったんです。ゲームの延長ではない、彼ら自身の人生を与えたかった。深いゲーム愛から生まれた作品ですが、独立した映画にしたかったんです。例えば、レオンの見た目はゲームとは違います。けれど映画を観れば、本作における彼の性格や役割が理解できるし、キャラクターに新しい次元をもたらすようになっています」
そのうえで「カプコンも僕の方向性に少し躊躇していましたが、映画を観て、ゲームとそっくりの小道具がただ歩き回っているだけの作品ではないことを理解して、とても興奮してくれました」と明かしたロバーツ監督。「ゲームをプレイしていると、それぞれにキャラクターのイメージが定まるので、そうした戸惑いを感じるのは理解できます。観客の皆さんも同じでしょう。映画を観て、多層的なキャラクターの人間性を楽しんでいただければ嬉しいですね。『バイオハザード』の世界観を守りたいという一心で、カプコンとも協力し合いましたから」
とはいえ、衣装や銃器、小道具など、キャラクター描写にも原作要素は満載。初代「バイオハザード」リメイク版の敵役だったリサ・トレヴァーが登場するなど、劇中にはゲームファンを楽しませる仕掛けが用意されている。(編集部・入倉功一)
映画『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は全国公開中