「カムカム」錠一郎はまだ音楽を…?父親ではなく男としての思いを垣間見せた瞬間
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(月~土、NHK総合・午前8時~ほか、土曜は1週間の振り返り)が第14週に突入し、舞台を京都に移して物語が展開している。2月2日放送の第65回では、オダギリジョー演じる錠一郎が、ミュージシャンとしての思いを垣間見せるような場面が見られた。第14週の演出を担当した二見大輔がこのシーンについて語った。
トミー&ジョーの熱きセッション!「カムカムエヴリバディ」場面カット【写真】
連続テレビ小説の第105作「カムカムエヴリバディ」は、昭和から令和にわたる時代をラジオ英語講座と共に歩んだ祖母・母・娘、3世代の親子の100年を描いた物語。朝ドラ「ちりとてちん」を手掛けた藤本有紀によるオリジナル作品で、英語と日本語を織り交ぜた語りを城田優が担当している。
るい(深津絵里)が岡山の雉真家を出て、一人やって来た大阪のジャズ喫茶で出会った錠一郎(通称、ジョー)。トランペットの腕前は一流で、コンテストに優勝し、東京の芸能プロダクションでレコードデビューにまでこぎつけたジョーだったが、原因不明の症状により演奏ができなくなっていた。その後、自暴自棄になったものの、るいが献身的に寄り添ったことで立ち直り、るいと結婚して京都に新居を構えた。そこで娘のひなたが生まれたというのが先週までのストーリーだ。
第14週では、時代劇を愛するひなたも小学生になり、錠一郎が音楽から離れて10年以上の歳月が流れた。その間、錠一郎はるいが始めた回転焼屋を手伝ったりするものの、音楽への思いが感じられるような描写はない。第65回の冒頭で、野球をしている子どもたちをベンチで見ていた錠一郎は、何かを思いついたようにポケットからメモ用紙を取り出すと、譜面のようなものを書き始めるのだった。
このシーンについて二見は「第12週でジョーはトランペットが吹けなくなり、そこから13週へとハードな展開につながっていきました。そして、10年の歳月が流れた14週のこのシーンでは、ジョーの“音楽”に対する思いがほんの少しだけ感じられるシーンとなっています。こうしたジョーの姿は、家族のるいやひなたには見せていません。“父親”ではなく“生き方を模索する一人の人間”としてのジョーの現在地を垣間見ることができます。観ていただいている方々には、ジョーが今後どうなっていくのか……という思いを巡らせていただけたら嬉しいです」と説明する。
10年以上にわたって封印している錠一郎の音楽への思い。今後の展開については「お楽しみに」と明言を避けるが、ひなたの良き理解者としての父親の顔から、また天才トランぺッター“ジョー”の復活はあるのか──そんなことを連想させるようなシーンだった。(取材・文:磯部正和)