『ウエスト・サイド・ストーリー』アンセル・エルゴートがトニー役を勝ち取るまで 「テープを送りまくった」
先ごろ発表された第94回アカデミー賞のノミネーションで、作品賞、監督賞含む7部門でノミネートされたスティーヴン・スピルバーグ監督のミュージカル映画『ウエスト・サイド・ストーリー』(2月11日公開)。本作で主人公トニーを演じるアンセル・エルゴートが、役を射止めるまでの道のり、憧れのスピルバーグへの熱い思いを語った。
【写真】助演女優賞にノミネートされたアニータ役アリアナ・デボーズ
本作は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」をモチーフにした1957年初演のブロードウェイ・ミュージカルを映画化。1950年代のニューヨーク・マンハッタンのウエスト・サイドを舞台に、ヨーロッパ系移民のトニー(アンセル・エルゴート)と、プエルトリコ系移民のマリア(レイチェル・ゼグラー)の許されない恋の行方を描く。アカデミー賞では作品賞、監督賞のほか、マリアの兄の恋人アニータを演じたアリアナ・デボーズが助演女優賞にノミネート。撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、録音賞でも候補入りした。
現在75歳のスピルバーグと、27歳のアンセル。もともとスピルバーグ監督の大ファンだったアンセルは「「本当にクリエイティブだ。彼は僕たちが愛している映画を作ってきたよね。『グーニーズ』のような楽しくて可笑しい映画、『E.T.』のような悲しくてでも可笑しい映画、『ジョーズ』のような怖い映画、『インディ・ジョーンズ』のようなアクション映画などをね!」と、彼が手掛けてきた作品の魅力を熱弁。そして、『ウエスト・サイド・ストーリー』の主演を勝ち取るまでの道のりを以下のように語っている。
「どうしてもトニー役がやりたかった。オーディションに参加し始めたとき、僕は別の映画の撮影中で忙しくはあったんだけど、とにかくオーディションに参加することにしたんだ。テープを送りまくったよ。僕のボーカル・コーチと一緒に取り組んで、何度もテープを録り直しながら、どんどん良いものになって、ようやくスクリーン・テストまでたどり着いたんだ! ただし、それで役につけたわけではないからね……!その後も頑張り続けて……オペラ・コーチから習ったり、テープを送ったりしてやっと最後までいくことができたのさ!」
一方、スピルバーグはトニー役の俳優を1年がかりで探していたと言い、「1年かけてトニー役を探していたところにアンセルがやってきた。カメラに映された彼は実際の年齢よりも若く見えたかと思うと、次の瞬間には、マーロン・ブランドのようにも見えた。“少年”でありながら“男”でもあり、容易に交替させることができる」とアンセルの魅力を紹介。本作での演技に「物語では、トニーは“光”を見つけようと必死になって“影”から姿を現し、そのせいでもっと悲痛な出来事が起こるわけだけど……そんなトニーを作り上げる方法をアンセルは確かに見出していたね」と賛辞を送っている。
『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ラストナイト・イン・ソーホー』などのエドガー・ライト監督による『ベイビー・ドライバー』(2017)で主演に抜擢され一躍注目を浴びたアンセル。念願のスピルバーグ作品では、「ロミオとジュリエット」の有名なバルコニーのシーンを模した「トゥナイト」の歌唱シーンをはじめ、美しくパワフルな歌声を披露。今後、渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久ら日本人キャストも大挙出演するマイケル・マン監督のWOWOWドラマ「TOKYO VICE」の放送を控える。(編集部・石井百合子)