『さがす』殺人鬼役・清水尋也の怪演に激震
初日から3日間で興行収入1,200万円超えのヒットを記録している佐藤二朗の主演映画『さがす』(公開中)で、キーパーソンとなる殺人鬼を演じた清水尋也の演技が観客を震撼させている。
本作は、自閉症の妹に売春をあっせんする兄の過酷な現実を描いた衝撃作『岬の兄妹』の片山慎三監督がメガホンをとったサスペンス。物語は、大阪の下町で中学生の娘・楓(伊東蒼)と暮らす主人公の原田智(佐藤二朗)が、ある日娘に指名手配中の連続殺人犯を目撃したと告げ、失踪するところから幕を開ける。清水は、その連続殺人犯・山内照巳にふんしている。
のほほんとしたイメージの強い佐藤のガラリと異なる新境地に加え、吉田恵輔監督の『空白』に続き受難の娘を演じる伊東蒼らキャストの迫真の演技がクチコミでも話題を呼んでいる本作。清水もその一人で、常人の理解を超えたキャラクターを淡々と“怪演”。爪を噛む仕草や「ここからは有料コンテンツです」の口癖も恐ろしく、ネット上では「狂気の怪演」「最高にサイコ」「こういう役をやったらピカイチ」「始終不穏」とその怪演に圧倒された観客の声でざわついている。
清水といえば、松本潤主演のテレビ朝日系ドラマ「となりのチカラ」が放送中。主人公のゴーストライター・チカラ(松本潤)と同じマンションに住む上条知樹を演じており、「十年前に世間を震撼させた凶悪少年犯罪事件の真犯人・少年A」という噂のある陰のある役どころだ。「狂気」「不穏」というキーワードでは押切蓮介のコミックを実写映画化したバイオレンス映画『ミスミソウ』でも二面性のある役柄がはまり役となり、大いに話題を呼んだ。
また相原実貴のコミックを実写映画化した青春映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』では、ヒロイン(堀未央奈)に不器用な思いをぶつけるドSな高校生に。坂元裕二脚本のドラマ「anone」では過酷な現実を生きる薄幸なヒロイン(広瀬すず)にとって唯一の救いになる病弱な少年を好演。少女漫画から抜け出したかのようなピュアな役どころだった。そんなクールな美貌、陰のある雰囲気で世の女性たちをときめかせてきた。
近頃では2021年度前期のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」では気象予報士・内田衛に。メガネ&マッシュルームカットのオタク系男子から爽やかなイケメンキャスターへと変身し、そのあまりのギャップが視聴者を驚かせていた。『さがす』は、22歳にして変幻自在の演技力を誇る清水の集大成といっても過言ではない一作となっている。(編集部・石井百合子)