間宮祥太朗が主演、不朽の名作「破戒」60年ぶりに映画化決定
間宮祥太朗が主演を務める映画『破戒』が、7月8日に公開されることが決定した。あわせて、キャストとティザービジュアルも発表された。
かつて、木下恵介監督や市川崑監督という名だたる巨匠が手掛けてきた、島崎藤村の名作「破戒」を60年ぶりに映画化した本作。明治後期、被差別部落出身という自らの出自を隠して生きる小学校の教員が、差別に苦悩しある決断を下す姿を描く。『発熱天使』の前田和男監督がメガホンを取り、加藤正人と木田紀生が脚本を務める。
間宮が主人公の瀬川丑松にふんし、丑松に思いを寄せるヒロイン役に石井杏奈、丑松の親友・銀之助役に矢本悠馬が決定した。そのほか、眞島秀和、高橋和也、竹中直人、本田博太郎、田中要次、石橋蓮司、大東駿介、小林綾子らベテラン勢が名を連ねる。
自らの出自に苦悩する主人公という難役に挑んだ間宮は「戒めを破ると書いて破戒、シンプルで確固とした主張を抱いた題名。情景や風景、その場のあらゆることが繊細な描写で表現されていて、肌で知ることのできない時代の物語が目の前に表れるようでした」と作品をアピールした。
あわせて公開されたティザービジュアルには、「誰にも心を許してはならない。」というキャッチコピーが添えられ、主人公の苦悩する横顔が印象的なデザインになっている。(今井優)
キャスト・スタッフのコメント全文は以下の通り。
主演:間宮祥太朗
映画『破戒』で瀬川丑松役を演じます。島崎藤村氏の小説はこの話を頂いてから読みました。
戒めを破ると書いて破戒、シンプルで確固とした主張を抱いた題名。情景や風景、その場のあらゆることが繊細な描写で表現されていて、肌で知ることのできない時代の物語が目の前に表れるようでした。
そして作品の中枢の部分にぶっとく流れる強い激情。今このコメントを書いている最中も何と言葉にしていいかわからずにいます。しかし一方で言葉を探す作業こそ重要なのだとも思っています。他人に見えず自分の中だけにある感情を探す事に繋がっている気がします。この映画も、言葉で語りづらいものになっていれば、そして観客の皆さん一人一人が自分の言葉や感情を探してくれればと願っています。真夏の京都での撮影は静かに着々と進みました。
映画『破戒』宜しくお願い致します。
監督:前田和男
間宮祥太朗は違う次元に行ってしまった。
原作における主人公・瀬川丑松は、苦悩と葛藤にまみれた複雑なキャラクターである。
ところが、間宮祥太朗は深く静かに丑松になりきり、信じられないほどの軽みと透明な人物をそこに生み出した。
映画のDNAの本質は、何かを「じっと見つめる」ことにある。
「静か」「透明」……それこそ映画が映画であるための本質である。間宮祥太朗はそこに到達した。
役者が演じている顔(気持ちから導き出された演技)とは違う次元に行ってしまったのだ。
それは映画開始早々1分30秒で登場する間宮祥太朗=瀬川丑松を見れば一目瞭然だろう。その恐ろしいほどの美しさに、撮っていた私は鳥肌がたった。
脚本:加藤正人
島崎藤村の「破戒」は、1948年に木下恵介監督、1962年に市川崑監督によって映画化されている。いずれも日本映画史に残る名作だ。
「破戒」は、差別に対する悲憤を描いた小説だ。出版されて110年以上の時が流れた現在も、未だに部落差別は社会に残っている。それどころか、外国人やマイノリティに対する新しい差別も生まれている。人間の心から消えない差別意識というものを常に意識しながら、現代にも通じる「破戒」にしたいという想いでこの脚本を書いた。
主人公の瀬川丑松は、過去の作品で、池部良、市川雷蔵といった名優によって演じられたが、今回この難役に挑戦してくれた間宮祥太朗君には深く感謝している。