衝撃の変貌!『前科者』若葉竜也の爪痕残す名演話題
香川まさひとと月島冬二による社会派漫画に基づく映画『前科者』(公開中)。WOWOWの連続ドラマ版から主演を続投する有村架純をはじめ、森田剛、磯村勇斗らキャストの迫真の演技が口コミで評判になっているが、その中でもビジュアル共に衝撃的な変貌を遂げ爪痕を残しているのが若葉竜也だ。
本作は、罪を犯した「前科者」たちの更生や社会復帰を手助けする保護司の奮闘を描くWOWOW連続ドラマ(2021年・全6話)の映画版。保護司とは、保護司法・更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。犯罪や非行に陥った人の更生を任務とする。活動内容に応じて実費弁償金が支給されるが給与は支給されず、民間のボランティアで成り立っている(『前科者』公式サイトより)。有村架純がコンビニ勤務と保護司、二つの仕事をかけ持つ28歳の主人公・阿川佳代にふんし、宇野祥平、北村有起哉、石橋静河ら連ドラ版のキャストが再集結するほか、新たに森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、リリー・フランキー、木村多江らが参加した。監督は、『二重生活』(2016)、『あゝ、荒野』前後篇(2017)などの岸善幸。
映画版の軸となるのは、佳代の元で社会復帰を目指す工藤誠(森田)の物語と、佳代の過去。若葉が演じるのは、工藤の前に現れる謎の男・実。プラモデルが入った紙袋を手に、ラーメン店にいた工藤のテーブルにふらりとやって来る。役柄の詳細はネタバレになるため触れられないが、観客の多くが「難役」だと評している。
謎に包まれた役柄だが白髪のビジュアルだけをとっても、彼の暗い過去がうかがえる。若葉といえば『愛がなんだ』『あの頃。』など売れっ子監督・今泉力哉の作品に多く出演し、同監督の『街の上で』で長編映画初主演。朝ドラ「おちょやん」(2020~2021)では女優を目指すヒロイン(杉咲花)が恋する助監督を好演し、お茶の間の人気を博していた。いずれも、どこにでもいそうな親しみやすいキャラクターだ。一転して2016年の映画『葛城事件』では無差別殺傷事件を引き起こす少年を熱演していた。『前科者』では「静」の演技に徹し「迫真の演技」「鳥肌」「ヤバい」と観客を揺さぶった。また、ビジュアルのあまりの変貌に本人とわからなかったという声も多く見られた。
若葉演じる実は、見過ごされている社会的弱者を象徴するキャラクターとも言え、悲痛かつ衝撃的な物語にさまざまな反応が寄せられている。映画・ドラマ・アニメレビューサイト「Filmarks」では3.8、Yahoo!映画レビューでは4.3(いずれも5点中)の評価(2月22日時点)。
1月23日に放送されたフジテレビ系のトーク番組「ボクらの時代」では森田剛、若葉、岸監督が出演。森田が若葉と岸監督を「お話したい人」として浮かんだと紹介していた。(編集部・石井百合子)