黒沢あすか「女であることを忘れ去っていた」主演映画で体当たりの演技
女優の黒沢あすかが5日、都内で行われた映画『親密な他人』の初日舞台あいさつに出席し、本作のオファーを受けた当時の心境について「3人の息子を育てて、女であることを忘れ去っていた頃に来たオファーだったので正直嬉しかった」と語る一幕があった。
黒沢あすか、体当たりの演技! 映画『親密な他人』場面カット【写真】
本作は消息を絶った息子(上村侑)の帰りを待ち続ける母親(黒沢)と、あるたくらみを持って彼女に近づく青年(神尾楓珠)の関係を描くスリラー。舞台あいさつには息子役の上村と、本作の監督・脚本を務めた中村真夕も登壇した。また本作に出演し、現在、多発性骨髄腫で闘病中の佐野史郎もメッセージを寄せ、壇上で黒沢が代読した。
黒沢は本作のオファーを受けた当時の心境を問われると、「3人の息子を育てて、女であることを忘れ去っていた頃に来たオファーだったので正直嬉しかった」と笑顔でコメント。劇中、半裸のシーンなど、体当たりの演技を求められるシーンも多数あったが、「遠くに女性を追いやっていた自分を手繰り寄せて作業していきました」と振り返る。
監督に対する信頼も大きかったといい、「(過去に出演した)『冷たい熱帯魚』以降、(女性の色気を出すような役は)やりきった感があって、そういう役に興味を持てなくなっていたんですけど、真夕さんの作品であったらもう一度半裸であってもいいって受け入れられる素直な自分がいました」と紹介する。
一方で若いキャストの前で半裸になって演技をすることに恥ずかしさもあったようだが、「自分には息子もいますので、若い人と接するのは問題がないけど、女優として対峙するとなると……。(役の)恵が恥じらっているのかわたしが恥じらっているのかわからない。そんな感情が交錯しました」と語る。
上村はそんな黒沢演じる恵の失踪した息子役。「マスクをつけるシーンが僕はなかったので、顔を出した状態で不穏な雰囲気を出せればって、監督と相談しながら現場で役をつくっていきました」と同じく撮影を回顧。黒沢との母と息子としての距離感については「母親と子どもとも違う、男と女とも違う。そんな不思議な空気が伝われば」と思って演じていたと明かす。
中村は、黒沢の起用について「邦画は若い女性を題材にした映画が多いんです。でも、わたしは大人の女性の映画を撮りたいと思っていた。黒沢さんはいろんな顔を持った女優さん。セクシーだったり、お母さんのような顔も持っている。ぜひということでオファーしました」と振り返っていた。(取材・文:名鹿祥史)