JO1初主演ドラマのこだわりがすごい!原作にない設定追加のワケとは?
グローバルボーイズグループ・JO1が初主演を務め、Amazon Prime Video で配信中のドラマ「ショート・プログラム」。原作は「タッチ」などで知られるあだち充の傑作短編作品集だが、JO1のファンだけでなく、あだち充のファンやJO1を知らない人からも「感動した」「キュンキュンした」「あだち充ワールドそのもの」と反響を呼んでいる。原作の世界観を大切にしつつ、JO1の魅力も引き出した本作の細部にまでちりばめられた制作陣のこだわりに注目したい。
【写真】若手注目女優ずらり!「ショート・プログラム」場面カット
本作は、あだち充の同名短編作品集から「プラス1」「ゆく春」「スプリングコール」「近況」「交差点前」「若葉マーク」「どこ吹く風」「ショート・プログラム」「なにがなんだか」「メモリーオフ」「途中下車」を映像化したオムニバスドラマ。最終話「Dreamer」はJO1のメンバー11人全員が出演するオリジナルストーリーとなっている。
JO1のメンバーは、ほぼ全員が本格演技初挑戦。一般のドラマでは、台本を渡された俳優がそれぞれ自分で準備をして撮影に臨むが、今回JO1は初の主演ドラマということで、何度もワークショップを重ね、演技を基礎から学んだという。「単なるアイドル主演作品にはしたくなかった」という制作陣のこだわりのもと、初々しさを残しつつも丁寧な準備を経てしっかりと役に向き合ったJO1は、役者としても輝きを放っている。
そんなJO1の脇を固める共演者も豪華な面々がそろった。それぞれの作品のヒロインには、岡本夏美、久保田紗友、矢作穂香、貴島明日香、桃月なしこ、秋田汐梨、馬場ふみか、柳ゆり菜、小川紗良、莉子、小西桜子、伊藤万理華という注目の女優陣がずらり。そこに筒井真理子、勝村政信、渡辺いっけい、板尾創路、梶原善といった名バイプレイヤーや、葉山奨之、池田純矢、楽駆、栗原類といった個性豊かなキャストが名を連ねており、こだわり抜かれた多彩なキャスト陣のケミストリーを楽しむことができる。
また、音楽の選曲にも非常に強い思いが込められている。オムニバス形式のドラマでは作品内の音楽を各話ごとでいくつか使いまわすことが多いが、本作では各話の雰囲気に合わせたものを使用している。それは、それぞれの物語の設定やロケ場所が違い、青春恋愛ストーリーでありつつもコメディタッチだったり、感動する切ない物語だったりと、世界観にも幅があるため。12作中6作を手掛けた渡部亮平監督は、鶴房汐恩が主演を務めた「ゆく春」の選曲について、次のように思い入れを語っている。
「ストーリーが悲しい物語なので、『悲しみ』を煽る音楽にはならないように気をつけました。目指したのは、ヒリヒリと傷ついた青春の輝きが、儚く美しく、人の心に寄り添って優しく届くように、透き通った綺麗な音楽を意識しました。音数は少なく、後半はメロディーを繰り返して盛り上げていく構成になっており、その音楽にはとっても苦労しました。フジモト(ヨシタカ)さんにも何度も曲の書き直しをお願いして作っていただきました。最終的には、思っていた以上の感情が、知らないうちに引き出されてしまう美しい曲になったと思っています」
さらに、豆原一成主演の「メモリーオフ」では、“可愛さ”が引き立つ楽曲になるよう作り直しを依頼したというエピソードも。「最初は、もっとサスペンスを煽る重たい曲が上がってきました。ですが、ふたりのキュートでコミカルな部分を立ててもらい、あくまでも可愛さを意識して作り直してもらいました。銃を持った謎の少女と浪人生の出会いという導入、可愛い音楽とサスペンスな内容とのアンバランスさが、とてもうまくハマったかと思います。後半には、ふたりの関係が一気に溶け合うような、美しい音楽を当ててもらい、物語の中では『二人のその後』を描いていないけれど、その先を音楽の美しさが想像させてくれるようになっています」(渡部監督)。
今回の映像化では、原作には存在しない設定も追加された。その一つが、佐藤景瑚が主演を務める「どこ吹く風」で使用されたキリンのグッズ。キリンのように首が長いことから、ファンの間では「キリンといえば佐藤」として知られているが、今回はそのイメージをもとにTシャツや置き物などにキリンのモチーフが使用された。
このキリン好きの設定は原作にはないものだが、渡部監督は設定の追加について「馬場ふみかさん演じた道子は、正平(佐藤景瑚)に対して好意があるけれど好意を描けないという難しい演出で、どのようにすれば少しでも正平と道子の繋がりをつくれるかと悩んでいました。その時に過去に好意なのかそうでないのかは分からないものの、『キリンに似てるね』と言ってもらえたことがきっかけで、正平はキリンが好きになり、キリングッズを部屋に集めるようになったという設定にしました。そうすることで、出すことのできない正平の好意と道子の好意がつながってるように感じてもらえたらと思っていました」と明かしている。
その他にも、JO1のメンバーカラーが作品の中にちりばめられていたり、メンバーの誕生日が車のナンバーになっていたりと、こだわりがたっぷり。そうした細部からも、制作スタッフのJO1への愛や、原作へのリスペクトが伝わってくる。(編集部・吉田唯)