「鎌倉殿の13人」上総広常に衝撃展開!佐藤浩市、名シーン振り返る
17日に放送された小栗旬主演、三谷幸喜脚本による大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)第15回は、佐藤浩市演じる上総広常を巡る衝撃的な展開となり、放送後にドラマの公式SNSで佐藤が本作で描かれた広常の人柄や魅力を振り返るコメントが公開された(※ネタバレあり。第15回の詳細に触れています)。
本作は、鎌倉時代を舞台に、源頼朝(大泉洋)にすべてを学び武士の世を盤石にした男・北条義時(小栗)が、いかにして武士の頂点に上り詰めていったのか、その軌跡を追う物語。前話では岡崎義実(たかお鷹)、土肥実平(阿南健治)、千葉常胤(岡本信人)らが水面下で頼朝に反旗を翻し、御家人たちが真っ二つに割れた。第15回「足固めの儀式」ではのちの二代目鎌倉殿・源頼家となる万寿の足固めの儀式が行われる中で、頼朝政権の「足固め」のための陰謀がうごめく波乱の展開に。義時が頼朝の恐ろしさを思い知る、哀しいエピソードとなった。
第15回では、頼朝や大江広元(栗原英雄)の策略にハメられ壮絶な運命をたどった広常。視聴者から「つらすぎる」と涙の感想が多く寄せられていたが、佐藤は広常のラストシーンについて「『何か、俺が間違ってた部分があるかも知れねぇ』という感じです。広常という人は決してすごく学のある人ではなかったにせよ、頭の悪い人ではないんです。戦のやり方も分かっている、人への食い込み方も分かっている。でも『何か、俺は間違ったのか』っていうことをふと思ったときに、義時を見て『お前は俺になるんじゃねぇ』という思いが湧いて、最期のああいう笑顔になったんじゃないかなと思います」と思いを巡らせた。
いつしか義時の悩み相談の相手にもなっていった広常だが、京に上った際に恥をかかぬようにと読み書きの稽古をしていることを義時に打ち明けたことも。広常の鎧の中には「これから3年のうちにやるべきこと」を記した手紙が残されており、それは「鎌倉殿の大願成就のため」に記したものだった。佐藤は人知れず読み書きの稽古をしていた広常について「最初に、本筋とは何か全然関係のないところで、広常のキャラクターが見えるようなシーンがあったらいいね、なんてことを演出陣と話していました。それを三谷幸喜さんが聞いて、できたシーンだったんです。どこか粗野な上総介が、まったく童心のように、未来に対する希望として、それを書いている姿、やっている姿、そういう希望を無残に壊されてしまう悲しさがあると思います」と語っている。
第7回で頼朝のもとに参じた広常は、二万騎ともいわれる大軍勢を率いる坂東の巨頭。かつては彼を味方につけるべく頼朝と平家の間で熾烈な駆け引きが繰り広げられた。頼朝と敵対する大庭勢についた畠山重忠(中川大志)が降伏した際は、彼を許すか否か豪族たちの意見が割れる中で広常が収拾をはかった。また、頼朝の軍が常陸の佐竹義政(平田広明)征伐に出陣した際には協調性のない義経(菅田将暉)を、広常が「身勝手な振る舞いが全軍を総崩れに追いやることだってある」と諫めた。頼もしくある一方、短気な性格ゆえ、佐竹義政との交渉の場では義政が放ったある一言にキレてその場でたたき切ってしまう事件もあった。ちなみに、広常は三浦義村(山本耕史)に「唐では親しい人を“武衛”と呼ぶ」と耳打ちされて以来、頼朝をブエイと呼び続けている(実際には、武衛は佐殿より尊称)。
佐藤は、これまで多くの三谷作品に出演。大河ドラマ「新選組!」(2004)、スペシャルドラマ「わが家の歴史」(2010)、映画『THE有頂天ホテル』(2006)、『ザ・マジックアワー』(2008)、『ステキな金縛り』(2011)、『清須会議』(2013)、『記憶にございません!』(2019)などのドラマ、映画で組んでいる。3月13日に富津で行われた本作のトークイベントでは「三谷幸喜さんと仕事する時の、僕に対する彼の下駄の預け方というかね、それは重々わかっているつもりなので、それを何割か増幅させてお返ししたいなって、そういうふうにいつもやっています」と三谷とのタッグに触れていた。
ところで、広常のほかに注目を浴びたのが善児(梶原善)。これまで伊東祐親(浅野和之)や梶原景時(中村獅童)に仕えていた刺客だが、彼が出現すると血が流れる展開となっていたことからオープニングクレジットに彼の名が上がると、SNS上では「善児の名が……」「何か起こる」とざわざわ。衝撃展開の本エピソードに「上総介殿」「上総介ロス」「佐藤浩市」「大江広元」「足固めの儀式」「頼朝嫌い」「鎌倉幕府」「梶原景時」など多くの関連ワードがTwitterトレンド入りし、「善児の名前」も上位に挙がっていた。(編集部・石井百合子)