怒とうの岩田剛典ラッシュ!恋愛、コメディー、サスペンスで見せる多彩な演技
映画『孤狼の血』などで知られる白石和彌監督の最新作『死刑にいたる病』が5月6日に公開。主演を務める阿部サダヲと岡田健史とともに強烈な存在感を放っているのが、物語のカギを握る謎めいた男を演じる岩田剛典だ。これまで多彩な役どころに挑んできた岩田にとって初の白石組となる本作でも、役者としての新たな顔を見ることができる。
『死刑にいたる病』の原作は、映画化もされた『ホーンテッド・キャンパス』の原作などで知られる櫛木理宇のサスペンス小説。世間を騒然とさせた24人もの連続殺人の容疑で逮捕された殺人犯・榛村(阿部)から、そのうち1件の冤罪(えんざい)証明を依頼された大学生の雅也(岡田)が、事件の真相に独自調査で迫っていく。
鬱屈した日々を送っていた雅也は想像を超える残酷な事件の真相に迫るうち、抜け出せない深い闇に足を踏み入れてしまう。本作の見どころは、言葉巧みに心の隙間に忍び込んでいく殺人犯にふんした阿部の不気味な殺人鬼ぶりと、彼の影響を受けて本能を目覚めさせながら戸惑う大学生を熱演する岡田の化学反応。どこかジョナサン・デミ監督の名作『羊たちの沈黙』を思い出させるようなひりついた心理劇が、不穏な雰囲気をたえず漂わせている。
榛村が冤罪だと主張する殺人事件を雅也が追うなかで出会うのが、岩田ふんする謎の男・金山。雅也が榛村との面会のために初めて拘置所を訪れた際に面識を得ることになるが、その第一印象から金山は大きなインパクトを与える。顔の半分が隠れるほどの長髪で、表情にも乏しく、登場から早くも物語の緊張感を高める役割を果たしている。なんとも謎めいた役どころだが、次第に雅也が探る事件の真相にも深く関わっていることが判明し、物語のカギを握る存在となっている。
岩田といえば、主演を務めた映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)や『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(2018)といった作品で、いわゆる「岩ちゃんスマイル」と呼ばれる爽やかな笑顔を見せてきた。本作では、そのイメージからは大きくかけ離れた、新境地ともいえるキャラクターを表現している。
そんな岩田にとっては今年は、本作のみならず、早くも“岩田剛典ラッシュ”ともいえる充実した活躍の年ともなっている。篠原涼子が主演したNetflixシリーズ「金魚妻」(配信中)では、篠原ふんする主人公と禁断の恋に落ちる青年・春斗役を好演。官能的なシーンにも挑戦し、癒やしや色香などを存分に発揮してみせた。
一転して『ウェディング・ハイ』では、振り切ったコメディー演技を披露している。これまでも『町田くんの世界』や『新解釈・三國志』などでコミカルな役どころに挑んできたが、岩田自身も「今後こういう役を演じることはないと思います(笑)」と語るほどにコメディーを満喫。二枚目なイメージとは正反対のちょっと残念な(?)姿で魅力を放っている。
そして、人気ドラマを映画化する『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』も6月17日に公開を控えている。岩田は犯罪捜査コンサルタント助手の若宮にふんして、探偵役となる誉獅子雄を演じるディーン・フジオカと再びバディを組むことに。獅子雄に翻弄されながらも、次第に絆を深めてきた若宮の新たな活躍に期待が高まる。「シャーロック・ホームズ」シリーズの中でも高い人気を誇る「バスカヴィル家の犬」が令和にどのように生まれ変わるのか、そこも注目だ。(編集部・大内啓輔)