山下智久、話術で魅せる 人気No.1ホストと不動産営業マン、対照的なキャラ好演
現在「正直不動産」(NHK総合で毎週火曜夜10時~)と「TOKYO VICE」(WOWOWで毎週日曜夜10時~ほか)と2本のドラマが放送中の山下智久。「正直不動産」では不動産会社で働く営業マン、「TOKYO VICE」では店で人気ナンバーワンのホストを演じているが、いずれも「話術」に長けたキャラクター。山下が対照的なセリフ回しで視聴者を魅了している。
「正直不動産」は、大谷アキラ(漫画)、夏原武(原案)、水野光博(脚本)の同名漫画に基づくコメディー。嘘八百を並べて売り上げトップを誇っていた“ライアー永瀬”こと登坂不動産のやり手営業マン・永瀬財地(山下)が、土地のたたりによって嘘をつけない体となり、一転して“正直すぎる”営業マンとして奮闘する。毎度のお約束となっているのが、永瀬が嘘をつこうとした瞬間にどこからともなく風が吹き、たたみかけるように本音があふれ出す展開。そのおかげで、初めは客を激怒させトラブルも絶えず成績はがた落ち。タワマンでの豪勢な暮らしに終止符を打ち、今はボロアパートでおとなしく女っけなしの生活を送っている。しかし、正直営業に徹するうちにいまだかつてない充足感を味わい、いつしか営業マンとして、人として大きく成長していくこととなる。
視聴者が今か今かと楽しみにしている“風が吹く”シーンは、例えばこんな感じだ。第7話でメインバンクの融資課・榎本美波(泉里香)と共に、自宅売却を考える定年夫婦を訪ねた時のこと。榎本は、自宅売却ではなくリバースモーゲージタイプの住宅ローンを提案。愛着のある自宅に住み続け、従来通りの生活を送りながらも融資を受けられると鮮やかに提案し、永瀬にも意見を仰ぐ。永瀬はメインバンクを相手にノーと言えるわけもなく「もちろんわたしもお勧め……」と後押ししようとした瞬間、風が吹き「なんて1ミリもできないんですよ! 榎本さんは耳障りのいいことしか話していませんが……」と本音のマシンガントークを開始。早口でまくしたてる永瀬に、夫婦は目を丸くし、顔をつぶされた榎本は鬼の形相に。
普段は落ち着いた口調だが、風が吹くとまるで何者かが乗り移ったかのようにズケズケ言う永瀬。風が吹き出すと、口をふさごうが外に出ようが決して逃れられない。視聴者の間では毎度、このお約束のシーンが「風が吹いてからの山Pが必ず笑える」「たくさんセリフ覚えたんだろうな」「ぶっちゃけトークがスカッとする」「毎週山Pの髪が風になびくの楽しみにしている」と盛り上がっている。
WOWOWと HBO Max の共同制作ドラマ「TOKYO VICE」は、『ウエスト・サイド・ストーリー』のアンセル・エルゴート、渡辺謙、菊地凛子、伊藤英明、笠松将と日米のスターが共演したクライムサスペンス。1990年代の東京を舞台に、日本の大手新聞社で働くアメリカ人青年ジェイク(アンセル)が、危険な闇社会に足を踏み入れていく。映画『ヒート』『インサイダー』などの巨匠マイケル・マンが第1話の監督、全話のエグゼクティブ・プロデューサーとして参加している。山下が演じるのは、ホストクラブ・ミラリナの人気ナンバーワンホスト、アキラ。
アキラ初登場の4話「虎穴虎子」では、アキラに貢ぐホステス、ポリーナ(エラ・ルンプフ)とのやりとりが展開。「わたしの相手はイカくさいジジイで長い話を面白がらなきゃいけない」と仕事の愚痴をこぼす彼女を「君は彼らや僕を幸せにしてくれる」となだめ、さりげなく「もう一本どう?」とボトルを入れさせる。それでもポリーナが「またモデルの仕事をしようかと……」と迷い始めると、「きみは美人だけどモデルより今の店のほうが儲かる」とやんわり阻止。さらに彼女が、海外でなら成功するかもしれないと言い出した途端、「待てよ日本を離れるのか? 僕はその程度の存在?」「君だけは違うと思ったのに嘘つきだったんだ!」と語気を荒げる……といったふうで、硬軟織り交ぜたトークで客を離すまいとする。山下の流ちょうな英語、甘いささやきが特徴的だ。
4月6日に行われた同作の記者会見では、自身の役を「カリスマホストというより、クソホスト役」と自虐的に紹介していた山下だが、放送されるやいなや、ポリーナのようにとりこになるファンが続出。「甘い声にやられました」「妖しくてカッコよかった」「あんなこと言われたら…」「ボトル入れちゃうよね」「巧みなトーク」「山Pの英語好きー」と色めき立っている。(編集部・石井百合子)