野木亜紀子、初タッグの湯浅政明監督に「2段階にわたって驚いた」
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「MIU404」などの脚本家・野木亜紀子が、8日に都内で行われた湯浅政明監督のアニメーション映画『犬王』(公開中)の公開記念舞台あいさつに登壇し、初タッグとなった湯浅監督のイマジネーションあふれる映像を「感服しました」と称賛した。イベントには、声優としてダブル主演を務めたアヴちゃん(女王蜂)と森山未來も参加した。
『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』の湯浅政明監督が、古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」をアニメ化した本作は、室町時代に人々を魅了した実在の能楽師・犬王と、その相棒となる琵琶法師・友魚の友情を描くロックミュージカル。犬王の声をアヴちゃん、相棒の友魚を森山未來が務めた。
野木が本作のイベントに初登壇したこの日は、Twitterで募集した質問・感想などを登壇者にぶつけるQ&Aスタイルで行われた。湯浅監督との初タッグについて「2段階にわたって驚かされました」と語る野木。「まずは脚本から絵コンテになった時。絵コンテには音楽が流れていないしラフなので実際、何が描かれているかわからない。だからアニメになって完成品を観た時に、犬王はこんな顔だったんだとか。脚本担当なのに、なんでこんなに驚いているんだろうというくらい、最後まで驚きの連続でした」と湯浅作品への驚きを明かすと、完成した作品を観た時の心境を「だから初見の時は殴られて帰ったみたいな。理解できないけどすごいものを観てしまったような。すごかったなと、殴られたようにして帰りました」と回顧。「2度3度観ると冷静にはなるんですが、脚本担当の思い込みを取っ払って。こういうことだったんだなと思って。湯浅さんはすごいなと感服しました」としみじみ付け加えた。
友魚の声優を担当した森山については舞台を観ていたという野木。「本当に惚れ惚れするような歌を何度も聴いていた」そうで、「ちょうどキャスティングの頃は(大河ドラマ)『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』(2019)で落語家の役をやっていて。うまいなと思っていた頃だったので、プロデューサーから名前が出た時は、絶対に森山さんがいいよね。断られたら誰もいないよねと言っていたので、本当にやっていただけてありがとうございます」と念願かなっての出演に感謝。
犬王役のアヴちゃんについては「もともとアヴちゃんのことは存じ上げていなくて。この難しい犬王という役を誰ができるんだろうとプロデューサーと話していた」というが、「でも半年くらい経って、ファーストテイクとかPVのリンクが送られてきて。犬王じゃんと思って。原作が小説なのでビジュアルは分からないけど、完成品を観たら本当に犬王だったなと」と、アヴちゃんの演技に圧倒されたことを明かす。「お二人の力で命を吹き込まれたと思っているので、本当にありがとうございました」と二人に改めて謝辞を述べると、会場から拍手が沸いた。
さらに「あともうひとつ、キャストでいうと」と切り出した野木は、友魚の父の声を務めた松重豊の話題へ。「みんな大好き松重(豊)さん。今は赤坂で女医さんと恋愛中なので今月は忙しくて。今日は来られないということだったんですが」と松重が出演しているドラマ「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」の影響をほのめかし、「でも松重さんに『どうでしたか』と聞いたら、すごく方言の多い芝居だったけど観た人からは『誰だかわからなかったと。最高の褒め言葉をもらった』と喜んでいました」と紹介する一幕も。
6月11日からは第2弾入場者プレゼントとして、野木書き下ろしの冊子「幕間『犬王』と友一」が配布される。犬王と友一(友魚)が出会い熱狂のステージが始まるまでの“幕間”の物語について、野木は「7ページくらいの台本形式のちょっとした会話なんですが、幕間でこんな会話をしたよねという物語です」と紹介し、「要するに、脚本担当による二次創作です」と笑顔。森山とアヴちゃんもこの物語がお気に入りだったようで、「本当にわかってるなと思いました!」と大喜びだった。(取材・文:壬生智裕)