ソー役・三宅健太『アベンジャーズ』藤原啓治&中村悠一の卒業に寂しさ 最新作は11年間の集大成
映画『マイティ・ソー』(2011)から主人公ソーの日本版声優を担当している三宅健太が、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参加した11年間を通して気づいたソーの魅力や、シリーズ最新作『ソー:ラブ&サンダー』について語った。
ピュアなソーに親近感
アイアンマン、キャプテン・アメリカと共に、アベンジャーズの“ビッグ3”として地球の平和を守ってきた雷神ソー。『アベンジャーズ/エンドゲーム』でサノスとの激闘を終えた後、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと新たな旅へと繰り出した。再びソーに声を当てる三宅は「すごく嬉しい反面、『エンドゲーム』でソーは壮絶な体験をしているので、無理して戦わなくてもいいのでは……と心配する気持ちもありましたし、『もう1回旅に出るんだね』と感慨深い思いでした」と長年キャラクターに寄り添ってきたからこその心境を明かす。
1作目でアスガルドを追放されたソーは、地球でさまざまなことを学び、アベンジャーズの一員として共に戦う仲間も増えた。三宅は、「彼自身の生き様って、ノープランなんです」と11年間向き合ってきて気づいたソーの魅力を説明する。
「ソーには、当たって砕けろ! みたいな強さがあって、すごくピュアなんですよ。目はいつも澄んでいて、行動一つ一つに嘘がない。喜怒哀楽もわかりやすくて、嘘をつけないところがすごく魅力的。作品を経て、人間味が増していくところが顕著に出ていて、観ている方が親近感を覚えるヒーローになったのではないかなと、声優をやっていて思います」
「ソーはアベンジャーズで人々を守っている立場なんですが、特に仲間たちにすごく守られているヒーローでもあるんだろうなと、常々思っているんです」とソーを取り巻く仲間の存在も、彼を一人前のヒーローに成長させたと説く。「一作目では、ヒロインのジェーンに導いてもらっていて、すごくみんなに支えられて、助けられている感じがします。声優をやっていて、羨ましいなと思うこともあるんです。みんなが手を差し伸べてくれる、ソーには放っておけない可愛さがあるんだと思います。作品を重ねる毎に、その可愛さがどんどん増していくんです」
盟友たちのマーベル・スタジオ作品の卒業「寂しい」
三宅にも、同じ日本版声優として切磋琢磨してきた仲間がいる。中でも、アイアンマン役の藤原啓治、キャプテン・アメリカ役の中村悠一は、アベンジャーズ初期メンバーとして長きにわたり作品を共にした。
藤原と中村が演じたアイアンマンとキャプテン・アメリカの物語は『エンドゲーム』で一つの区切りを迎え、二人はマーベル・スタジオ作品を卒業した。ビッグ3で唯一残っている三宅は、「藤原啓治さんや中村悠一さんはもちろん、アイアンマンとキャプテン・アメリカが卒業してしまった寂しさはもちろんあります」と切り出すと、中村との些細なエピソードを明かした。
「キャップがいなくなって、『あ~そうか、キャップも卒業か』と思いながら、僕(ソー)はガーディアンズと旅に出て……。ある日『ソー:ラブ&サンダー』製作決定の話が出た時に、中村さんから『いいなー残ってて』って連絡が来たんです。僕は『ごめんね』って返しました(笑)」
ソーとジェーンの再会にドキドキ
最新作『ソー:ラブ&サンダー』は、多くの仲間を失ったソーが、“神殺し”ゴアの魔の手が迫る地球に戻り、自分が守るべきものは何かを見つけ出す。『ソー』シリーズの集大成を飾る作品だと説明する三宅は、「これまでのソーの流れを全部詰め込んだような感じがしたので、全ての要素を踏襲したいという思いがありました」と力を込める。
「『マイティ・ソー』1作目の初々しさ、2作目の責任という重さを知ったストイックさ、3作目では自由を得てからの開放感、そして『ソー:ラブ&サンダー』ならではのひと味を加えることを意識しました。何を加えたのかは、作品を観ていただいてということで、今は内緒です(笑)」
最新作では、ソーの元恋人ジェーンが新ヒーロー、マイティ・ソーとしてシリーズに帰ってくる。「とにかく二人の会話を見てください! もう、それだけです」とアピールする三宅は、「少しだけお話しすると、ドキドキします。ジェーンがあの姿で現れたのを知った時、僕自身も複雑な気分になったんですよ。嬉しい反面、かつての恋人に街中でバッタリ会ったような、何とも言えない『俺どんな顔すればいいのかな』というドギマギ感を覚えました(笑)。きっと、観ている方もそう感じるかもしれない。ソーに負けず劣らずの、素晴らしいマイティ・ソーになっていると思います」と期待をあおった。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
『ソー:ラブ&サンダー』は7月8日(金)全国公開