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『キングダム』王騎役・大沢たかおが過酷な肉体改造に挑む理由 「心地いい芝居ではダメ」

大沢たかお
大沢たかお - 写真:中村嘉昭

 原泰久の漫画を実写映画化した2019年のヒット作の続編『キングダム2 遥かなる大地へ』(公開中)で、人気キャラクターの王騎将軍を続投する大沢たかお。前作に続き、20キロ近い増量と過酷なトレーニングによる肉体改造を経た大沢が、徹底的な役づくりで漫画キャラクターの再現に挑む理由を明かした。

【動画】インタビューの様子

 紀元前の春秋戦国時代の中国。前作で山崎賢人(※崎はたつさきが正式表記)演じる主人公の信が、後の始皇帝・エイ政(吉沢亮※エイ政のエイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくりが正式表記)の秦国玉座奪還を手助けしてから半年後。続編では秦と隣国・魏の戦いに一兵卒として参戦した信が、前作では仰ぎ見るだけだった王騎と、戦場で身分を超えて直接交流を果たすこととなる。亡き幼なじみ・漂(吉沢亮)との約束を果たすため天下の大将軍を目指す信にとって、圧倒的存在感を見せる王騎は、憧れの人物。王騎は原作ファンの間でも屈指の人気キャラクターだが、筋骨隆々の巨体に「ココココ」「ンフ」という独特の笑い方や言葉遣いなど、漫画的表現の個性も強い。大沢も前作では「本当に難易度が高く、どこを着地点にすべきなのかをすごく考えながら現場に入っていました」と振り返るが、その再現度の高さは原作ファンからも好評を得た。

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 前作のヒットに安堵し、完成品も見たことで「前作では正解のない中、迷いながらやっていたところもありましたが、王騎を演じる上での一つのルールができた」と感じた大沢だが、それで続編が容易になったわけではない。「体づくりも含め、王騎はより王騎らしく、前作を超えるものでなければ、観客の皆さんに喜んでいただけないだろうという思いで準備に入りました」

『キングダム2 遥かなる大地へ』より大沢演じる王騎 (C) 原泰久/集英社 (C) 2022映画「キングダム」製作委員会

 大沢は前作撮影終了後、通常の体型に戻していたが、続編では前作以上のトレーニングを課し、より大きな筋肉を纏うべくさらなる肉体改造を行った。前作並みに増量するだけでも大変だが、それ以上を目指す中、コロナ禍という状況も追い打ちをかけた。

 「いろいろ規制のある中、スポーツジムも閉まっていて、好きなようにはトレーニングできない。自宅でやるしかないけれど、王騎を演じるためには重い重量に対応した専門的なトレーニング器具を用意する必要がある。家の中がおかしなことにもなってくるし(笑)、自分との戦いを強いられた感じでしたね」

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 本作はそれぞれの演者が自身の役柄に合わせ、アクションのトレーニングや、体づくりも含めた原作のビジュアル面の再現など、時間をかけ徹底した役づくりを行っている。大沢も大変なのは自分だけではないと思いながら準備し、自身の撮影初日に現場で新キャラクターを演じる佐藤浩市(呂不韋役)や玉木宏(昌平君役)らの姿を見て、「漫画から飛び出してきたかのようで、ご本人たちにすぐ声をかけさせていただきました。信を演じる山崎君も前作以上に仕上げてきていたし、皆さんがちゃんと役を突き詰めて現場に来ていることが感じられました」と、やってきたことが間違ってなかったと感慨を得たようだ。

肉体面はもちろんカリスマ性のある人気キャラを完璧に再現!

 人気漫画であればあるほどその実写化は、まずキャラクターの再現度の高さが重要視される傾向がある。それが原作へのリスペクトを示す指標のようにもなっており、原作ファンたちの評価にも大きく関わる。原作漫画をそのまま実写化するのは不可能だし、それぞれ別物だと言いたくなる気もするが、大沢はこの難題にも「漫画的表現を実際にやると、難しく感じる時は多々あります。でもだからといってやらないのは、逃げだと思う。そこを必死になって毎カット毎カット、ファンタジーでなく実写としての着地点を見つけていく。とはいえ正解はわからないので、毎回ずっとぐるぐる考えながら現場にいますけどね(笑)」と前向きに挑んでおり、原作にリスペクトを込めて演じている。

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 「映画の『キングダム』って、再現性の素晴らしさも魅力だと思う。原作自体がとても完成された魅力を持っているので、自分の好きなようにアレンジするのではなく、なるべく原作のキャラクターをリアルに演じられた時に、ファンの方々が納得してくれるような感じにしたくて。ただ王騎は、体格も含め現実的には存在が難しい人物なので(笑)、もちろん創作もありますが、原作の血となり肉となっているベースのものは、そのまま表現できたらと。原作は現場でも常に持っていますし、めちゃめちゃ参考にしています。自分の出演シーンの元になった漫画のカットは、全部覚えていますよ」

写真:中村嘉昭

 ストイックと言われることも多い大沢だが、「本当は苦労するのは嫌だけど(笑)、自分が心地いい無理のない範囲で芝居をしても、全く幸せを感じない。想像を超えるようなサプライズを与えるのがエンターテインメントだと思っているので、僕が苦労したとしても、驚いてもらえたり、面白いと言ってもらえれば楽しいなと思いながら、ワクワクしてやっています」と微笑む。続編にも、「前作を遥かに超える作品になっていて武者震いしました」と、観客を驚かせる出来栄えに自信を見せていた。(取材・文:天本伸一郎)

大沢たかお、王騎への挑戦とリスペクト 『キングダム2 遥かなる大地へ』インタビュー » 動画の詳細
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