長澤まさみ、4年半ぶり連ドラ主演 大根仁演出の社会派エンタメで眞栄田郷敦、鈴木亮平と共演
長澤まさみが、10月期のカンテレ・フジテレビ系ドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」(毎週月曜午後10時~※初回放送日未定)で約4年半ぶりに連続ドラマの主演を務めることが26日、明らかになった。本作は、実在の複数の事件から着想を得て制作された社会派エンターテインメントで、長澤が演じるのはスキャンダルによってエースの座から転落したアナウンサー。彼女と共鳴した仲間たちが、連続殺人事件の犯人とされ死刑が確定した男の冤罪疑惑を追う。共演に眞栄田郷敦、鈴木亮平。脚本は、映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003)や連続テレビ小説「カーネーション』(2011)などで知られ、本作で初めて民放連続ドラマを執筆した渡辺あや。演出を、長澤も出演した映画『モテキ』(2011)や大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)の大根仁らが名を連ねる。
タイトルのエルピス(Elpis)とは、古代ギリシャ神話で、中からさまざまな災厄が飛び出したと伝えられる「パンドラの箱(壺)」に唯一残されていたものとされ、良きことの予測として「希望」、悪しきことや災いの予測として「予兆・予見」とも訳される言葉。ドラマでは、深夜の情報番組のコーナーMCを担当する落ち目のアナウンサー・浅川恵那(長澤)と彼女に共鳴した仲間たちが、10代の女性が連続して殺害された事件で犯人とされ死刑が確定した男の冤罪疑惑を追う中で、一度は失った自分の価値を取り戻していく。真相に迫っていく過程で登場人物たちはさまざまな希望を見いだすが、自身や周囲、所属する組織に対し、痛みや破綻といった災いも降りかかる。
現在、語りを担当する大河ドラマ「鎌倉殿の13人」も話題の長澤にとって、月9ドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系、毎週夜9時~)以来の連ドラ主演となる本作。演じる恵那は、入社当初は抜群の容姿と好感度の高さから「10年に一人の逸材」と持てはやされ、ゴールデンタイムのニュース番組のサブキャスターを務めていた。しかし、複数番組を担当する激務のなかで次第に疲弊していき、徐々に人気に陰りが見え始めたところで週刊誌に路上キス写真を撮影され、ニュース番組を降板。現在は、社内や視聴者から「落ちぶれた」と後ろ指をさされながら、“制作者の墓場”と揶揄される深夜の情報番組「フライデーボンボン」のコーナーMCを担当している設定だ。物語では、番組で見せる華やかなアナウンサーの表情とは異なる恵那が抱える葛藤・苦悩が随所で描かれていくという。
主演ドラマ「カナカナ」(NHK)も記憶に新しい眞栄田が演じる岸本拓朗は、深夜の情報番組で芸能ニュースを担当する新米ディレクター。物語は、ひょんなことから拓朗が連続殺人事件の犯人とされる死刑囚の冤罪疑惑を知り、恵那に持ち掛けるところから始まる。弁護士夫婦の息子として裕福な生活を送り、能天気でマイペースな性格だがディレクターとしての実力・評価は低く、現場では怒られてばかり。一見何不自由ない人生を送っているように見えて、自分の価値を失った過去の出来事を記憶の底に抱えている。
主演を務めたTBS日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(2021)の映画化が決定している鈴木が演じる斎藤正一は、恵那と拓朗の先輩で報道局のエース記者。拓朗の新入社員時代に指導担当だった縁で、恵那と拓朗が追う連続殺人事件の冤罪疑惑について相談に乗る役どころ。面倒見がいい先輩として、そして政権中枢の要人とも懇意な間柄の官邸キャップとして、2人の味方となる。
劇中音楽を作曲するのは、連続テレビ小説「あまちゃん」(2013)、大河ドラマ「いだてん」、映画『花束みたいな恋をした』(2020)などの大友良英。
長澤、眞栄田、鈴木、渡辺(脚本)、大根(演出)、佐野亜裕美(プロデュース)のコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)
長澤まさみ
Q.企画や脚本を読んで感じたことをお聞かせください。
世の中にある正義って、具体的に何を指しているのか戸惑うことがあります。自分の正義を貫くことも容易ではないし、人それぞれひたむきに今と戦っているんだなって思います。目の前に起こることに夢中になって、明日を生きる。そんな風に人生を歩めたらいいなと思いました。渡辺あやさんの物語と時間の流れに、身を委ねて楽しんでもらいたいです。
Q.浅川恵那という人間とどう向き合っていきたいですか?これから続く撮影に向けての抱負も含めて、お聞かせください。
自分の中にある、“恵那み”を絞り出して演じたいです。共感することの多い役でした。落ち着いて、起こる出来事に反応していきたいです。
Q.視聴者へメッセージをお願いします。
スピード感のある作品になるのではないかと思います。登場人物それぞれの息づかいを感じて、自分を重ね合わせて見てもらいたい作品です。最後まで何が起こるか、見届けてください。
眞栄田郷敦
Q.企画や脚本を読んで感じたことをお聞かせください。
台本を読んで一番最初に感じたことはキャラクターがみんな人間臭いということ。なんでかなって考えてみると、リアルな人間がみんなもつ弱さや多面性がそれぞれのキャラクターに描かれているからなのかなと感じました。何が表で何が裏なのか、何が正義で何が悪なのか、そういった人間や物事の本質についてすごく考えさせられる台本でした。
Q.岸本拓朗という人間とどう向き合っていきたいですか?これから続く撮影に向けての抱負も含めて、お聞かせください。
家庭環境や経歴、ルックスなど、一見何不自由ない人生を送っているように見える拓朗ですが、実は大きなトラウマを抱えている人物です。揺らぐことも多く、どんどん心情が変化していく様、人間臭さを表現できればと思ってます。普段はその役のベストを探ることが多いですが、今回拓朗を演じるにあたってはやりすぎと言われるぐらい一度やってみたいと思ってます。題材、役所、共演者の方々を含めてとにかく思いっきりぶつかっていきたいです。
Q.視聴者へメッセージをお願いします。
世の中や人間のリアルが描かれてる作品だと思います。少なくとも僕はこんな作品見たことないです。みなさんもご期待ください。
鈴木亮平
Q.企画や脚本を読んで感じたことをお聞かせください。
これほどのオリジナル脚本にはそうそう出会えるものではありません。初めて読ませていただいた時、その寸分の隙もない、磨き上げられた完成度とエンタメ性に驚きました。冤罪事件を通して主人公たちの内面を、その先に正義や政治の本質までをも描ききった脚本家の渡辺あやさんや佐野プロデューサーたちの気概に心から敬服しました。
Q.斎藤正一という人間とどう向き合っていきたいですか?これから続く撮影に向けての抱負も含めて、お聞かせください。
忠義と野心、正義と卑怯、愛情と冷酷、相反するものが同居する人物として、個人的に非常に共感できる人物でした。長澤さん、眞栄田くんと息を合わせ、丁寧に、多面的に、人間味のある人物として演じていけたらと思います。
Q.視聴者へメッセージをお願いします。
今から素晴らしい作品になる予感をひしひしと感じております。この社会の一員として生きることは何かと戦い続けることでもあります。毎日戦っている視聴者の皆様にも、主人公恵那と拓朗の奮闘の中に、一筋の「希望」を見出していただければ嬉しいです。
渡辺あや(脚本)
「エルピス」というのはギリシャ神話にでてくる「パンドラの箱」の中に最後に残るものの名前で、それを希望とするか厄災とするかで物語の解釈が変わるそうです。10話分の脚本を書きながら私自身も、どれが希望でどれが厄災なのかがわからなくなる瞬間が多々ありました。社会と世界(universe)の関係、人間という奥深い謎と秘密が、視聴者の皆さんの中にも立体化され、登場人物たちと一緒に迷い楽しんでいただけたら作家としても、この同じ社会を生きる一員としても嬉しいです。
大根仁(演出)
初めての渡辺あや脚本! ずっと撮ってみたかった鈴木亮平! 若手ナンバー1俳優(個人調べ)眞栄田郷敦!そしてそして『モテキ』以来11年ぶりの長澤まさみ!! 既に撮影は始まっていますが、素晴らしい脚本と、俳優たちのプロフェッショナルな仕事っぷりに、毎日心の震えが収まりません。面白いのは当たり前ですが、とにかくヤバいドラマになりそうです。はい、ヤバいです!
佐野亜裕美(プロデュース)
渡辺あやさんとこの企画に着手したのは2016年秋のことでした。それからさまざまな紆余曲折があり、その険しかった道のりさえも物語に取り込まれ、こうして素晴らしい出演者の皆さんに参加していただき実現できることが、まだ夢のように感じられます。「実在の事件に着想を得てドラマを制作すること」の重さときちんと向き合いながら、エンターテインメントだからできることを一生懸命考えて、誠実に制作していきたいと思います。