DC映画『バットガール』お蔵入り
DC映画『バットガール(原題) / Batgirl』がお蔵入りとなってしまった。すでに撮影を終えてポストプロダクションの最終段階に入っていたが、もともと予定されていた米 HBO Max でも配信されなければ、劇場公開もされない。アメリカの各メディアが報じている。
『バットガール(原題)』の主人公は、ゴッサム市警本部長ジェームズ・ゴードンの娘にして、スーパーヒーロー・バットガールとなるバーバラ・ゴードン。『イン・ザ・ハイツ』のレスリー・グレイスがバットガール役、『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが放火魔のファイヤーフライ役にキャスティングされたほか、J・K・シモンズがジェームズ・ゴードンを、マイケル・キートンがバットマンを再演していた。監督は『バッドボーイズ フォー・ライフ』のアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー。
お蔵入りの決定は、今年4月にワーナーメディアとディスカバリーが統合して新たにワーナー・ブラザース・ディスカバリーが誕生し、コストカッターとして知られるデイビッド・ザスラフがCEOに就任したことによるもの。新たな方針は大胆なコスト削減に加え、「DC映画は配信用ではなく、劇場公開用として作るべき」というもので、今年5月にも HBO Max 用のDC映画『ワンダー・ツインズ(原題) / Wonder Twins』の製作が撮影開始間際に中止になっていた。
The Hollywood Reporter によると、『バットガール(原題)』の製作費は、新型コロナウイルス感染防止対策でコストがかさんで9,000万ドル(約122億円)近くまで膨れ上がったとのこと。大金ではあるが、劇場公開用のDC映画と比べると安く(3月公開の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の製作費は、宣伝費抜きで1万8,500万ドル・約250億円)、観客が求めるDC大作のスケール感ではないとして劇場公開も見送りに。予定通り HBO Max で配信してしまえばいいようにも思えるが、宣伝費などこれ以上費用をかけるよりも9,000万ドル(約122億円)を捨てて損切りをすることを選んだのだという。今回の件を最初に報じた New York Post は、同作のテスト試写での評判がすこぶる悪く、お蔵入りはDCブランドの未来のための決断でもあるとしている。(1ドル135円計算)
また『バットガール(原題)』に加え、今年 HBO Max で配信予定だったアニメーション映画『弱虫スクービーの大冒険』(2020)の続編『スクーブ!:ホリデイ・ホーント(原題) / Scoob!: Holiday Haunt』もお蔵入りに。同作には4,000万ドル(約54億円)の製作費がかけられていた。
ザスラフは今年4月にも、3億ドル(約405億円)をかけた新ストリーミングサービスCNN+を、十分な加入者を獲得できなかったとしてローンチからわずか1か月で終了させている。(編集部・市川遥)