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ベネチア映画祭で満席!『LOVE LIFE』木村文乃、深田晃司監督らに大きな拍手

第79回ベネチア国際映画祭

公式上映後、拍手を受ける深田晃司監督、木村文乃、砂田アトム
公式上映後、拍手を受ける深田晃司監督、木村文乃、砂田アトム - (c)Kazuko Wakayama

 現在開催中の第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された深田晃司監督、木村文乃主演の映画『LOVE LIFE』(9月9日公開)の公式上映(ワールドプレミア)が現地時間5日に行われた。レッドカーペットや記者会見に木村、砂田アトム深田監督服部保彦(プロデューサー)、澤田正道(プロデューサー)が参加。公式上映後には、満席となった会場より大きな拍手が沸き起こった。

【写真】木村文乃、レッドカーペットに登場!ベネチア映画祭の様子

 メ~テレ60周年記念作品として制作された本作は、ミュージシャンの矢野顕子が1991年にニューヨーク移住後に発表した初のアルバムに収録された同名楽曲をモチーフにした夫婦の物語。木村演じる、愛する夫と息子と幸せな日々を送っていた主人公・妙子に突然降りかかる哀しい出来事、そこから明らかになる本当の気持ち、彼女が選ぶ人生が描かれる。妙子の夫・二郎に永山絢斗、失踪した元夫パクにろう者の俳優・手話表現モデルとしても活躍する砂田アトム、二郎の元恋人・山崎に山崎紘菜、二郎の両親に神野三鈴田口トモロヲがふんする。

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 レッドカーペットでは、木村がGUCCIのドレス、砂田が黒柳徹子からプレゼントされたという特注の袴をまとって登場した。

会見の様子(c)Kazuko Wakayama

 深田監督はこれまで海外映画祭で、『歓待』(2010)がプチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞、『ほとりの朔子』(2013)でナント三大大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞。ベネチア国際映画祭への出品はこれが初となり、最高賞の金獅子賞受賞した場合、北野武監督の『HANA-BI』以来25年ぶり。受賞結果は日本時間9月11日に発表される。

 なお、本作は9月8日より開催される第47回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門にも出品。フランスでの公開も決定している。

 深田監督、木村、砂田の公式記者会見でのコメントは下記の通り。(編集部・石井百合子)

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会見の内容

Q:深田監督の作品は「家族」をメインモチーフにしているとことが多いと思いますが、今作でもそのような部分が見られました。本作に込められた想いについてお聞かせください。

深田監督:私は映画を描くときによく「家族を描いている」と指摘を受けてるんですけど、私にとって「家族」がメインのモチーフではないと思ってます。私は映画を描くときに自分にとって普遍的だと思うことを描きたいと思っております。それは毎回変わるものではありません。言葉に出すと陳腐に聞こえるかもしれませんが、それは「人はいつか必ず死ぬ」ということ。そして「人は誰しも孤独を抱えながら生きている」ということ。ただ、その「孤独」を描こうとしたときに、1人でぽつんといる人を描けば「孤独」を描けるかと言われれば、そうではないと思っています。やはり、わたし達は親しい家族や友人、恋人といても、ふと自分は一人であると思い出してしまう瞬間があります。そういう瞬間を撮りたいと思っているからこそ、その前提である家族や夫婦といったコミュニティを描いています。今作は『LOVE LIFE』という矢野顕子さんの楽曲を聴いて、映画にしたいという思いを抱き、ずっと脚本を書いていたんですけど、コロナの時代が来て、「ソーシャルディスタンス」ということが言われるようになり、人と人が簡単に会えない時代になってしまいました。国と国の行き来もできにくくなった。そんな中で楽曲の「離れていても愛することができる」という歌詞がまた新たな意味を持ったことと思います。そして、この映画は、気がつけば、今作られるべき映画になったと思いますし、皆さまに届けるべき映画になったと思っております。

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Q:キャスト二人に質問です。脚本を読んだときにどのようにどういった点が心に響いたのでしょうか?

木村:脚本を読んだとき、小説を読んでいるかのような気持ちになりました。登場人物たちは決して奇をてらったような人物ではなく、ごく当たり前に人間としての生活を送っている人たちです。自分が当たり前に見てる世界、友達が見ている世界。自分の隣にある世界がこの脚本では描かれていると思いました。

砂田:台本を読んだときに、まず嬉しかったのは、ろう者の文化、ろう者の生活様式が取り入れられていたことです。というのも、これまでろう者が出る映画やTVというものは、どうしても「ろう者がかわいそう」と見られてしまうことが多いです。このことについては、自分自身としては抵抗がありました。でも、この作品は“お涙頂戴”といった部分は無かったですし、ろう者は耳が聞こえないから「不便だ」「かわいそうだ」だという描き方がされていなかったので、嬉しかったです。

Q:手話についてはいかがですか?

木村:私自身、手話を学んだのは初めてでした。その中で、手話と向き合えば向き合うほど、手話というのは、ただの手の動作やしぐさではなくて、イタリア語や英語と同じように、一つの言語であるということを学ぶことが出来ました。例えば、妙子(木村文乃)と次郎(永山絢斗)は目を合わせずに会話をしますが、妙子とパク(砂田アトム)は目を合わせて会話をします。それは、パクさんがろう者で、目を見て話さなくてはいけない。手話というのは、目と目を合わせて体現して、伝える言語です。だからこそ、ありのままに、自分の気持ちを隠さずにパクさんに届けられるという意味で、閉ざされてしまった妙子の心が、次郎さんではなく、パクさんによって開かれていったんだと思います。

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