14歳で家を出たジェニファー・ローレンス、新作に惹かれた理由
第47回トロント国際映画祭
オスカー女優ジェニファー・ローレンスがアフガニスタンからの帰還兵役を務めた映画『コーズウェイ(原題) / Causeway』のワールドプレミアが第47回トロント国際映画祭で行われた。主演のみならずプロデューサーも務めたジェニファーは、本作を製作しなければならないと感じた理由を語った。
主人公は、アフガニスタンでの作戦中に爆発物で負傷し、体と脳に傷を負ったアメリカ陸軍のエンジニア・リンジー。アメリカに移送された彼女はフラッシュバックや厳しいリハビリに耐えながら少しずつ回復していき、二度と戻るつもりはなかったニューオーリンズの実家に身を寄せることになる。
ジェニファーは、戦地でのトラウマを抱えながら、複雑な関係の母親、果ては自分自身と向き合うリンジーの内面を抑制の効いた演技で繊細に表現しており、映画は彼女の独壇場といったところ。同じく心と体に傷を抱えた、車の修理工場で働くジェームズ(『ブレット・トレイン』や『エターナルズ』のブライアン・タイリー・ヘンリー)との友情がリンジーを変えていくことになる。舞台演出家ライラ・ノイゲバウアーの長編映画デビュー作だ。
ジェニファーは「脚本を読んだ時、『これを作らなければならない』と直感した」と切り出すと、「これは、自分の居場所や目的地を見つけようとする物語。わたし自身、14歳で家を出た。私の実家との関係は常に複雑だったから」と自身の境遇と重なる部分が多いからこそ、本作に惹かれたと明かした。
ジェニファーが2018年放送の米ドキュメンタリー番組「60ミニッツ」で語ったところによると、彼女がケンタッキー州ルイビルの家族のもとを離れたのは14歳の時。学校での勉強にはなじめなかったが、脚本を読めば“この人物がこう感じた時にはこう見える”ということを完璧に理解でき、「これがわたしのやるべきこと」と中学校を中退し、女優の道をまい進。その後の活躍は周知の通りで、現在32歳で4度のアカデミー賞ノミネート、うち1回受賞と演技派の名をほしいままにしている。(編集部・市川遥)
第47回トロント国際映画祭は現地時間18日まで開催