稲垣吾郎×今泉力哉監督『窓辺にて』など 第35回東京国際映画祭コンペ作品発表
第35回東京国際映画祭ラインナップ発表会が21日、都内で開催され、映画祭のメインとなるコンペティション部門に出品される15作品が発表された。日本からは今泉力哉監督の『窓辺にて』、福永壮志監督の『山女』、松永大司監督の『エゴイスト』が選出され、各監督が意気込みを語った。
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今年のコンペ部門は、2022年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界107の国・地域から応募のあった1,695本の作品のなかから、厳正なる審査を経た15本が選出。舞台演出家で映画監督のジュリー・テイモアが審査員長を、シム・ウンギョン(俳優)、ジョアン・ペドロ・ロドリゲス(映画監督)、柳島克己(撮影監督)、マリー=クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセル(元アンスティチュ・フランセ館長)が審査員を務め、東京グランプリ/東京都知事賞をはじめ、各賞が選ばれる。
『窓辺にて』の今泉監督は、『愛がなんだ』で参加した2018年開催の第31回東京国際映画祭以来、2度目のコンペ選出となる。「いろいろな国と地域の作品と並んで観ていただけるというのは作品にとってもプラスです」と喜びを語ると、稲垣吾郎演じる男性が、妻の浮気を知ったときに芽生えた感情に悩む姿が描かれる本作に「僕はその辺の日常にありそうな恋愛を描いているのですが、悩んでいることや困っていることに気づいてもらえない人を、あまりシリアスにならず描きたいと思っていたんです」と企画意図を明かす。
松永監督は、過去東京国際映画祭に「アジア三面鏡」という映画祭初の映画製作プロジェクト、さらには Japan Now 部門選出の『トイレのピエタ』で参加しているが「コンペティション部門は初めてなので光栄です」と感想を述べると「他の国の映画と並んで自分の作品がどのように観られるのか、とても興味深いです」と語っていた。
コンペ部門のほか、「アジア発、世界へ! 未来へ!」をテーマに、アジアのフレッシュな作品を世界に先駆けて上映する「アジアの未来部門」、日本公開前の最新作をプレミア上映する「ガラ・セレクション部門」、世界の国際映画祭で注目された話題作を上映する「ワールド・フォーカス部門」、「アニメーションで世界を創る」を合言葉に最新アニメ映画や特撮作品を上映する「ジャパニーズ・アニメーション部門」など、今年も充実のラインナップ。特に特撮部門では、放送55周年を迎える「ウルトラセブン」を特集し、4Kリマスター版が上映される。
さらに14年ぶりに、日本が世界に誇る故・黒澤明監督の業績を長く後世に伝え、新たな才能を世に送り出すために、世界の映画界に貢献した映画人、映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる「黒澤明賞」が復活。映画祭開催中に、山田洋次(映画監督)、仲代達矢(俳優)、原田美枝子(俳優)、川本三郎(評論家)、市山尚三(東京国際映画祭プログラミングディレクター)の5人によって選出し、発表される。(磯部正和)
第35回東京国際映画祭コンペティション部門出品作は以下の通り
『1976』(マヌエラ・マルテッリ監督・チリ/アルゼンチン/カタール)
『アシュカル』(ユセフ・チェビ監督・チュニジア/フランス)
『ザ・ビースト』(ロドリゴ・ソロゴイェン監督・スペイン/フランス)
『窓辺にて』(今泉力哉監督・日本)
『エゴイスト』(松永大司監督・日本)
『ファビュラスな人たち』(ロベルタ・トーレ監督・イタリア)
『輝かしき灰』(ブイ・タック・チュエン監督・ベトナム/フランス/シンガポール)
『カイマック』(ミルチョ・マンチェフスキ監督・北マケドニア/デンマーク/オランダ/クロアチア)
『ライフ』(エミール・バイガジン監督・カザフスタン)
『マンティコア』(カルロス・ベルムト監督・スペイン)
『山女』(福永壮志監督・日本/アメリカ)
『孔雀の嘆き』(サンジーワ・プシュパクマーラ監督・スリランカ/イタリア)
『テルアビブ・ベイルート』(ミハル・ボガニム監督・キプロス/フランス/ドイツ)
『This Is What I Remember(英題)』(アクタン・アリム・クバト監督・キルギス/日本/オランダ/フランス)
『第三次世界大戦』(ホウマン・セイエディ監督・イラン)
「第35回東京国際映画祭」は10月24日~11月2日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催