TAMA映画賞に佐藤二朗、松坂桃李、磯村勇斗、横浜流星ら 第14回受賞作品・受賞者決定
国内映画賞のトップバッターとして知られる「TAMA映画賞」第14回の受賞作品及び受賞者が決定し、最優秀男優賞に佐藤二朗、松坂桃李、最優秀女優賞に倍賞千恵子、広瀬すずが選出。最優秀作品賞は、深田晃司監督・木村文乃主演『LOVE LIFE』、吉野耕平監督・吉岡里帆主演『ハケンアニメ!』が受賞した。
TAMA映画賞は2009年にスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考。「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる「いきのいい」作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。
最優秀作品賞受賞の『LOVE LIFE』は「平和な日常が一転し、深い哀しみやばかばかしいほどの虚しさに覆われたヒロインが、深層にあった愛を選び、踏み出していくさまは人生の本質を映し出していた」、『ハケンアニメ!』は「好きを原動力に邁進する登場人物たちと映画製作に関わった人々の情熱がリンクし、大きな共感と明日への希望を見せてくれた」との理由から選出。
俳優部門では、最優秀新進男優賞に磯村勇斗と横浜流星。最優秀新進女優賞に河合優実と伊東蒼。最優秀新進監督賞に『さがす』の片山慎三監督、『こちらあみ子』の森井勇佑監督。特別賞は『メタモルフォーゼの縁側』の芦田愛菜・宮本信子及びスタッフ・キャスト一同、『恋は光』の小林啓一監督及びスタッフ・キャスト一同がそれぞれ受賞した。
授賞式は11月26日、パルテノン多摩大ホールで行われる。各賞受賞理由は以下の通り。(編集部・石井百合子)
第14回TAMA映画賞・各賞受賞理由(要約版)
【最優秀作品賞】
『LOVE LIFE』:
平和な日常が一転し、深い哀しみやばかばかしいほどの虚しさに覆われたヒロインが、深層にあった愛を選び、踏み出していくさまは人生の本質を映し出していた。
『ハケンアニメ!』:
好きを原動力に邁進する登場人物たちと映画製作に関わった人々の情熱がリンクし、大きな共感と明日への希望を見せてくれた。
【特別賞】
年齢差を超えた二人の友情を越えた関係が、前に踏み出せないでいる私たちの背中を押してくれた『メタモルフォーゼの縁側』に対して(芦田愛菜・宮本信子、及びスタッフ・キャスト一同):
75歳のまっすぐな「好き」と17歳の内に秘めた「好き」の響きあいが、自分らしく自由に生きる喜びを縁側のひだまりのように教えてくれた。
“恋とは何か?”という哲学的なテーマを扱いながら作品世界を何度も体験したくなる多幸感に浸れる『恋は光』に対して(小林啓一監督、及びスタッフ・キャスト一同):
独自のファンタジー世界を構築し、趣きのあるロケーションや魅力的なキャラクターを活かして、恋愛映画の枠組みを越えた作品を誕生させた。
【最優秀男優賞】
佐藤二朗:『さがす』において、多面性のある父親役の多彩で濃淡をつけた演技は、観客を震撼させると共に感動に導き、役者としての凄みを見せてくれた。
松坂桃李:文という人間が抱え続けた繊細な感情の機微を零すことなく演じ、長い年月をかけた愛の灯を静かに的確に表現することで観客を物語へ引き込んだ。
【最優秀女優賞】
倍賞千恵子:長寿が祝福されない世相においても日々の暮らしを大切に営み、人間が根源的に持つ「生」の力が何より優先することを示してくれた。
広瀬すず:過去の傷を背負い生きてきた更紗が愛する人との再会によって抑圧から解放され、溌剌と息づく様は燃え立つ愛の炎のように静かな美しさを放っていた。
【最優秀新進監督賞】
片山慎三監督:予想できない展開のなかで命の尊厳や家族愛を描く構成力と、衝撃的なシーンや心に残るカットにより、男を狂気の沙汰に追い詰める演出力が絶妙に調和した。
森井勇佑監督: 常識に染まる前のピュアな心を持ち、自由闊達なあみ子の視点を通して、不条理な出来事を達観して描く世界観が秀逸だった。
【最優秀新進男優賞】
磯村勇斗:『ビリーバーズ』において、欲望との葛藤や内なる狂気を表現し、人間の振り切れるほどの幅を演じ分けられる俳優としての力量を見せてくれた。
横浜流星:『流浪の月』において、恋人の心が離れていると悟ったときの豹変した姿に心の闇の深さがずしりと伝わり、俳優として底知れぬスケールを感じさせた。
【最優秀新進女優賞】
河合優実:さまざまな役柄で物語を動かす印象的な役作りを行い、洞察力・想像力に裏打ちされたメッセージを籠めた視線が観客の心を射抜いた。
伊東蒼:『さがす』において、孤独と不安に苛まれながら思慮深さや健気さを失わず果敢に父の真実をさがし求める姿は、観客の心を強く掴んだ。