『仕掛人・藤枝梅安』豊川悦司は梅安そのもの 彦次郎役・片岡愛之助が絶賛
俳優の豊川悦司が13日、都内で行われた、時代小説家・池波正太郎の代表作を二部作で映画化する主演作『仕掛人・藤枝梅安』の合同会見に、歌舞伎俳優の片岡愛之助と共に出席。梅安の相棒・彦次郎を演じた片岡は、豊川演じる梅安を「原作からそのまま抜け出てきたようなイメージ」と絶賛した。
原作「仕掛人・藤枝梅安」は、殺し針で人知れず悪を葬る、裏稼業を請け負う鍼医者・藤枝梅安の活躍を描いた作品。今回の映画版では、豊川が梅安を、梅安の片岡が梅安の相棒・彦次郎を演じるほか、おもん役の菅野美穂をはじめ、高畑淳子、小林薫、柳葉敏郎、天海祐希、椎名桔平、佐藤浩市など豪華キャストが出演。監督は河毛俊作、脚本は大森寿美男が務める。
豊川は、新たな梅安役に挑んだ本作について「かなり頑張った作品ではあると自負しております」とコメント。「あらためて池波先生の原作も全部読ませてもらいましたが、色あせないし、斬新でトリッキーでものすごく面白い作品。その素晴らしいものを一度解体して、どう料理するかというところから始めたのですが、うまくいったんじゃないかなって思います」と手応えを明かし、「どなたが観ても楽しめる、深い印象を覚える作品になっていると思います。エンターテインメントだけどアートの要素もある」と語る。
子供の頃から藤枝梅安が好きだったという豊川は、自ら演じて気付いた梅安像を「ダークヒーローで、良いことをしながらも悪いこともする人」と分析。「良いこと、悪いことってなんだろうっていう問いかけをしてくるのが池波先生の原作であり、大先輩たちが演じてきた藤枝梅安だったと思うんですけど、自分が演じて、やはり梅安はダークサイドの人だなって」と納得させられたという。
そのうえで「梅安が日の当たる場所にいたら『おいおい、ふざけるな』ってそう思うと思うんです。自分の身分をわきまえながらダークサイドにいるからこそ、納得して見ていられる。言い方を変えると、(観客も)夢を見られる」と役への思いを語り、「俳優として、つくりがいがある役だなって思いました」と振り返った。
一方、彦次郎役の片岡は、豊川演じる梅安を「原作からそのまま抜け出てきたようなイメージだと思いました。梅安さんがそのまま出てきたという感じ」と大絶賛。自身が演じる彦次郎との関係は「バディなんだけど、バディではない」ことを意識していたといい「たまたま気の合うというか、通じるものがあるからこそ梅安さんと一緒にいる。信頼と大きな愛はあるけど、二人ともどこか孤独」と表現しながら「二人に共通するのは瞳の奥にある闇。それをぜひ見ていただきたい」と語った。
そんな片岡について、豊川は「今回この仕事をいただいて、『彦次郎さんはどういう人がいいですか』と聞かれて愛之助さんしか思い浮かばなかった」と告白。「仕事をするのは初めてだったんですけど、愛之助さんが持っている役者としての華のようなものが、ほかの映像の役者さんとはまた少し違う匂いがする気がしていて、いつか一緒にやってみたいなって思っていたんです。いろんなキャストの名前も挙がったけど、愛之助さんで実現して嬉しい」と明かしていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『仕掛人・藤枝梅安』は2月3日、『仕掛人・藤枝梅安 2』は4月7日より新宿ピカデリーほかで公開