清野菜名&松坂桃李、困難を経てついに公開の『耳をすませば』に感無量
映画『耳をすませば』(公開中)初日舞台あいさつが14日、東京・丸の内ピカデリーにて開催され、ダブル主演を務めた清野菜名と松坂桃李が出席。新型コロナウイルス感染拡大を受け、撮影および公開延期されていた作品が、約2年の歳月を経てこの日封切りされたことに感激した表情を浮かべていた。舞台あいさつには山田裕貴、内田理央、安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、平川雄一朗監督も参加した。
柊あおいが少女漫画雑誌「りぼん」にて発表した青春漫画「耳をすませば」を実写映画化した本作。1995年にはスタジオジブリがアニメ映画化したが、原作、アニメでも描かれていない主人公である雫と聖司の10年後が描かれる。
もともとの公開日は2020年9月18日だった。しかし世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、海外ロケを含めた撮影の中止や公開日も延期されるなど、さまざまなアクシデントが続いた。そんななかこの日、約2年の歳月を経て初日を迎えた。清野は「ようやく公開されてホッとしています」と安堵の表情を見せると、松坂も「本当に長い道のりでしたが、いま壇上に立ち公開を実感しています。撮影初日からこの日まで、裏で動いてくださったスタッフの皆さん、本当にお疲れさまです」とチーム『耳をすませば』のメンバーを気遣う。
山田も「僕は先にクランクアップしていたので、本当に作品が完成できるのか、どの現場に入っていてもマネージャーさんと『映画、大丈夫なのかな』と心配していたんです」と常に気になっていたことを明かすと、平川監督も「ようやく公開に至りました。一人でも多くの方に作品が届けば」と感無量の面持ちだった。
この日は原作者の柊から激励の手紙も届いた。柊は「さまざまな紆余曲折を経ながらも、ここに作品が出来上がったのは、制作の皆さんのたゆまぬ努力の結果です。スタッフ、出演者の皆様も本当にお疲れさまでした」と綴ると「撮影に入りすぐにパンデミックに見舞われ、作品の要である海外ロケができない以上、このままお蔵入りでも仕方ないかと思いました」と中止もやむなしという思いもあったという。
それでも柊は、まだコロナ禍が続くなか公開日が決まり、完成した映画のなかには封じられた海外ロケの場面も、まるでロケが行われたかのようにまったく遜色なく描かれていることに感動したと明かすと「観終わったあとの清涼感と温かさが一番良かった。この映画を観た人が、ひと時でも前向きな気持ちになれるのなら、作っていただいた意味があるのではと思います。改めてさまざまな困難に負けず、この作品に強い情熱を注いでくださった皆さんに心より感謝を申し上げます」とメッセージを送った。
柊の手紙を真剣な表情で聞いていた清野は「『耳をすませば』の生みの親である柊先生に、このような素敵なお手紙をいただけて本当に光栄です」としみじみと語っていた。(磯部正和)